IDEMITSU MARU(写真:出光興産)

前回第26回で「日章丸事件」の経緯について述べました。今回は、この「日章丸事件」後に行った「日章丸40周年記念式典のイランでの開催」を振り返りながら、レジリエンスをリスク管理のサイクル(広義のリスクマネジメントサイクル)の観点から整理していきます。

1.リスク管理における「レジリエンス」の位置づけ

第24回のコラムで「レジリエンス」は、狭義のリスクマネジメント、クライシスマネジメント、レジリエンスを含む「広義のリスクマネジメント」の中で「経営の復旧に向かう最終段階」に該当しますと述べました(以下の図を参照)。

また、以下の「広義のリスクマネジメント・サイクル」の図を見ていただくと、レジリエンスには将来のリスクに備えるリスク対応力をつけ、危機状態からの回復後は経営改革を経て企業価値を向上させ、さらなる将来のリスクに備えるという「リスクマネジメント・サイクル」の重要な機能として位置づけることができます。今回の2026年4月29日の出光興産の大型石油タンカー「IDEMITSU MARU」が、ホルムズ海峡のリスクと危機を乗り越え、日本の船で最初に通過できたのは、出光興産が長年培ってきたリスク対応力(リスクマネジメント、クライシスマネジメント、レジリエンス)が、米国・イスラエルによるイラン攻撃に伴うホルムズ海峡危機に機能した事例と言えます。