何が変わるのか

新しい庁は、この土台の上に立ち、意義ある一歩をさらに踏み出します。防災庁は内閣の直轄に置かれ、専任の防災担当大臣には、各府省庁が重く受け止めることが期待される勧告の権限が与えられます。庁内には総合政策、災害対応、事前防災・計画、地域防災の4つの部門が置かれ、約350人の体制で発足するほか、南海トラフ地震や日本海溝沿いの巨大地震のリスクが特に高い地域には、新たな地方拠点の設置が計画されています。日本はこれを本格的な投資で裏打ちしています。国土強靱化のために5年間で20兆円超。多くの国では大災害に見舞われて初めて実現する水準の取り組みを、日本は災害が起きる前に行っている。まさに本来あるべき順序です。

本稿をお読みいただいている皆さんは、事業継続の専門家でしょうから、自分のチームに語りかけるのと同じように、率直にお話しします。新大臣の権限は、直接の命令ではなく勧告を行うものです。私はこれを欠点としてではなく、むしろ評価すべき点として指摘したいのです。FEMAの権限も、同じ道をたどって育ちました。連邦議会がFEMAに今日の法的権限を与えたのは1988年のスタフォード法によってであり、それでもなお、その権限が実務の中で十分な重みを持つまでには、大変厳しい教訓を含む長年の経験が必要でした。紙の上の権限と、実務の中の権限は別物です。その距離を縮めるのは法律そのものではなく、時間をかけて築かれる信頼です。日本の新大臣が勧告を出し、省庁がそれを受け入れるたびに信頼は深まり、次の勧告はより大きな重みを持つようになる。それこそが、私の母国を含め、いかなる国においても強靭な組織が築かれるプロセスなのです。日本は、FEMAが最初の10年間に持っていたよりも明確な権限を持ってスタートを切ります。この信頼は速やかに築かれていくと、私は見ています。

なぜこれが重要なのか

権限が完全に追いつく前から、組織の構造は行動を形づくります。だからこそ、この節目には大きな意味があるのです。防災を内閣直轄とし、専任の大臣を置くことは、災害政策に対して、予算や政治の優先順位が決まる場での「常設の席」を与えることを意味します。内閣府の幅広い課題の中の一議題としてではなく、です。また、日本の備えに対する明確な責任を、交代していく部局の長ではなく、一人の人物が負うことになります。さらに、新たな地方拠点は、次の南海トラフ地震への対応の最中に初めて関係を築くのではなく、そのはるか前から、自治体や民間セクターとの関係を育てていくことができます。私たちの職業において、最も重要な仕事は災害のずっと前に行われます。その仕事に専従する庁は、他の優先課題と場を分け合う部局よりも、はるかに多くのことを成し遂げるはずです。

このタイミングは偶然ではなく、思慮深いリーダーシップの表れです。2026年は、東日本大震災から15年、熊本地震から10年、能登半島地震から2年の年に当たります。高市首相と、2024年にこのプロセスを始めた前任の石破茂氏は、苦難の中で得られた教訓を永続的な制度の力へと昇華させることで、これらの節目に応えました。真っさらなホワイトボードからではなく、国が共に乗り越えてきた経験の積み重ねから。

事業継続の専門家がいま取り組むべきこと

読者の皆さんへの私の助言は、これを「完成品」ではなく「参加への呼びかけ」として受け止めていただくことです。防災庁の権限も、地方での展開も、民間セクターとの関係も、今後数年をかけて形づくられていきます。そして民間セクターには、それを共につくり上げていく本物の機会があります。庁が完全に稼働するのを待つのではなく、各地の地方拠点が立ち上がる段階から、ぜひ接点を持っていただきたいのです。官民連携が最も力を発揮するのは、緊急時に初めて関係を築くときではなく、緊急事態が起きる前から関係がすでに存在しているときです。早くから関わり、防災庁の地域計画づくりに参画する企業こそが、この組織の成功を支えることになるでしょう。

日本は、ゼロからのスタートではありません。四半世紀にわたる実践で培われた経験と、世界有数の防災文化という土台の上に立っています。新しい防災庁は、その文化にふさわしい、確かな「家」を与えるものです。初日から完璧ではないでしょう。私たちの組織も、そうではありませんでした。しかし、これは理にかなった理由のもとに築かれた正しい構造であり、レジリエンスに真剣に向き合うすべての人の信頼と支援に値するものです。

 

プロフィール

クレイグ・フューゲート氏

2001年から2009年までフロリダ州危機管理局長を務め、その後2009年から2017年まで米連邦緊急事態管理庁(FEMA)長官を務めた。現在はクレイグ・フューゲート・コンサルティングLLCを通じて、災害レジリエンスに関する助言を組織に提供している。