2016/06/02
【6月第1特集】 熊本地震の検証 6人の専門家に聞く“教訓をどう生かす?”
熊本地震では震度7が観測史上初めて連発したことに加え、内陸型地震としては最多ペースで余震回数を更新するなど、再び「想定外」という言葉が繰り返し使われる事態となった。専門家の立場から見た想定外は何だったのか?国立研究開発法人産業技術総合研究所活断層・火山研究部門招聘研究員で静岡大学防災総合センター客員教授の石川有三氏に解説いただいた。
2016年4月16日01時25分にマグニチュード(M)7.3の地震が起きてしました。この地震では韓国でも釜山や済州島で有感でしたが、関東地方を含め一部は山形県まで非常に広範囲に有感になりました。震源断層は、活断層として知られていた布田川断層に沿った右横ズレ型断層(※1)で、長さが約27㎞、幅が約12㎞(北西側へ約60度で傾斜)、東は阿蘇山の裾野にまで達するものでした。この地震で益城町と西原村で震度階級の最大震度7が観測されました。
益城町では2日前にも震度7を観測しており(これは前震のうち最大のものによる)、連続して震度7が同じ地点で観測されたのは史上初めてです。そして、その後も活発な余震活動が続いています。図1に本震と最大前震の震源断層、および2つの地表活断層線、主な火山の分布などを示しました。
一般的に大きな地震は、本震が突然起こり、その後に多数の余震が続いて起きます。こういう場合、その地震活動を本震・余震型と呼びます。しかし、今回は本震が起きる約28時間前の4月14日21時26分にM6.5の地震が起き、それから活発な地震活動が始まりました。この活動は、日奈久断層という活断層に沿って起こり震度7を益城町で観測しています。
このように大きな地震の前にそれより小さな地震が起きる場合、それらは前震と呼ばれます。ですから今回の地震活動は、前震・本震・余震型となります。この前震を捕らえて将来の大地震を予測できる場合もあります。1975年2月に、中国遼寧省の遼東半島のつけね付近で発生した海城地震では、前震活動などを利用してM7.3の本震が起きる前に行政当局が住民を事前避難させ、被害を激減させた例が報告されています。
何しろこのときの前震の回数が、前年1年間に起きた回数の2倍近いという異常な多さでした。しかし、翌年に河北省東部で発生したM7.8唐山地震では、予知を行うことはできず24万人以上の犠牲者を出しています。このときは前震は起きていません。
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