2016/06/03
【6月第1特集】 熊本地震の検証 6人の専門家に聞く“教訓をどう生かす?”
被災自治体の支援制度が必要
最も苦労したのが被災した小規模自治体だろう。自らも被災者の立場ながら、初めての経験に加え、少ない職員数で住民を支援しなくてはならなかった。消防や警察、ライフライン企業の支援体制に比べると、行政の支援についてはまだ課題が多いようだ。災害時の行政対応に詳しい跡見学園女子大学教授の鍵屋一氏に小規模自治体の支援について解説してもらった。
熊本県益城町は震度7の烈震に2度襲われ、それ以降も大規模余震が継続した。人口約3万4000人、1万4000世帯に対し、全壊住宅が約1000棟、半壊・一部損壊が約4300棟に上った。仮に全壊世帯の全員、半壊・一部損壊世帯の半分が避難しているとすれば、避難者は8500人に上ると見積もられる。
市町村は、被災者でありながら支える側でもある。4割の住宅が損壊し、3割を超える住民が避難するという過酷な状況に襲われた小規模自治体における発災直後の災害対応の課題と対策について考えたい。
安易な批判をしてはならない
益城町は、まず避難所の設置、運営に全力を挙げた。残念なことに、避難所として予定されていた県立と町立の大型体育館2カ所、そして小中学校の一部までもが甚大な地震により損傷を受けて使用不能となった。このため、残った公共施設、福祉施設、民間ホテルなどに避難者が殺到し、入れなかった人は車中泊、テント泊を余儀なくされた。
こういう状況で、どの自治体がきちんと災害対応をできるだろうか。たとえば、避難所で高齢者、障がい者が厳しい状況に置かれていて、町はしっかりと対応すべきだなどの非難が寄せられる。しかし、要配慮者に対応するためには、福祉施設などに避難している一般避難者に、別の場所に動いてもらわなくてはならない。しかし、どの施設も満杯で動かせない。そこで、一部壊れた施設を補修して避難所として使えるようにしたり、テントを張って誘導したりして、少しずつ動かしながらより良い環境づくりを目指している。
ものごとを表面的に捉え、問題点を指摘するだけの批判をしてはならないと強く思う。まして現場から離れた遠くの場所から、安易な批判をすることは避けなければならない。これは、私自身の自戒でもある。
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