写真を拡大 (出典:BCI / The Future of Business Continuity and Resilience表紙(一部改変))

BCMの専門家や実務者による非営利団体BCI(注1)はFortress Availability Services Limited(注2)と共同で、2020年9月8日に「The Future of Business Continuity and Resilience」と題した調査報告書を発表した。

本連載でも度々紹介してきたように、BCIでは新型コロナウイルスによるパンデミックの影響を受けてビジネスの状況がどのように変わってきたか、また事業継続の実務者や専門家がどのような課題に直面してきたかを、継続的に調査してきた(注3)。今回紹介する調査は、これまでの調査結果を踏まえて、事業継続の実務者に今後どのような能力が求められるのか、パンデミックを含むさまざまな事象に対峙(たいじ)していくための計画やソリューションはどのように変わっていくべきなのか、などを探ることを意図して行われたものである。

なお回答者は55カ国の290人で、BCIのアンケート調査の中では少なめな印象である。また従来のBCIによるアンケート調査と同様、回答者の約半数が欧州からのものであり、南北アメリカからの回答が2割程度、アジアからの回答は6.9%となっている。また業種別の内訳を見ると、銀行・金融が27.6%、専門的サービス(コンサルティングなどが含まれる)が16.6%、政府および公的機関が13.1%、ITが10.0%となっており、製造業からの回答は3.1%にとどまっている。したがって本報告書を読む際には、このように回答者の業種分布が日本の産業構造と大きく異なることに留意する必要がある。

本報告書は次の5つのセクションから構成されており、全部で27の設問に対する回答結果と、一部の回答者からのコメントを踏まえて、BCIおよびFortressAS社による分析が行われている。

・レジリエンスと組織構造(Resilience and Organizational Structure)
・取締役レベルにおけるレジリエンス(Resilience at Board Level)
・レジリエンスのための協働(Collaborating for Resilience)
・計画とプロセス(Planning and Process)
・新しい業務環境におけるレジリエンスの確立(Ensuring Resilience in a New Working World)