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これまでの連載では、BCMの専門家や実務者による国際的な非営利団体である BCI が発表した調査レポートをたびたび紹介してきた。その中でも特に『Supply Chain Resilience Report』は最も古くから定期的に発表されており、筆者が継続的にウォッチしているレポートのひとつである。本稿ではその 2024 年版から、筆者が特に注目したデータをピックアップして紹介させていただく。

なお本レポートはこちらから無償でダウンロードできる(注1)

画像を拡大 図1. 重要なサプライチェーンの事業継続への取り組み状況を、どこまで調査するか(出典:BCI / Supply Chain Resilience Report 2024)

このレポートからは、各社がサプライチェーンにおけるリスクを網羅的に把握しようとしている様子がうかがえる。図1は、自組織のサプライチェーンに含まれるサプライヤーにおける、事業継続への取り組み状況をどこまで調べているかを尋ねた結果である。ここで「Tier 1」とは自組織と直接取引があるサプライヤー、「Tier 2」はTier 1のサプライヤーと取引関係にあるサプライヤーである。図のなかで最も左側の水色部分は、全てのサプライヤーについて調べるという回答の割合であり、2023年版の結果と比べると全ての階層において増加している。
 

『Supply Chain Resilience Report 2024』

BCI 会員を対象にしたアンケート調査と一部の回答者への個別インタビューをまとめている。レポートの調査対象期間は2023年6月~2024年5月の12カ月間。回答者の8割近くが、この期間内に自組織のサプライチェーンにおける障害(disruption)を1回以上経験したと回答しており、2023年版と比べて13ポイントほど増加している。回答者の地域的内訳は欧州が36.8%、北米は11.9%、アジアは21.0%、アフリカは13.2%。業種別では金融・保険業が25.4%、IT・通信業は17.9%、製造業は7.5%、物流・倉庫業1.5%を占める。


注1) ダウンロードにはwebページの「Register for Free」をクリックして連絡先などの登録が必要。