2021/04/05
地域と企業のBCP
この様式では、表面にご本人、ご家族、ご近所さん、福祉事業者などの企業の4者がそれぞれ行動の時系列を記入するようになっています。裏面には、ご本人の状態や非常時に重要な情報を記載します。
要配慮者マイタイムラインの最も大切な点は、この様式を通じてご本人を中心とした人と人とのつながりを紡ぐことです。作成ヒント集の表紙の絵にあるように、要配慮者の方を思う気持ちが多くの方をつなぎ、それが広がって地域全体の助け合いの連鎖が生まれるとステキな街になりそうですね。
でも「何かお手伝いしたいけど、何ができるのか分からない」と感じてしまう方も多いのではと思います。日ごろ要配慮者の方に接していない方は、災害時にどのようなことが困るのか見えにくいものです。
下記のYouTubeサイトでは、どこにでもありそうなご近所さんの様子が劇団の方によって再現されていますので、ぜひご覧になってください。
演じておられるのは、なんと御年94歳の現役俳優さんです。
https://oibokkeshi.net/
また、動画が見られない環境の方には漫画も用意されています。
以前、私の職場がある香川県でこの要配慮者マイタイムラインを利用していただくワークショップを行いました。そこに参加されていた方が、以下のようなことをおっしゃいました。
「普段、災害を意識する機会がなかなかないんです。でも、要配慮者の方の支援をしようと思ったら自分の備えがきちんとできていないといけないということに気付きました。実は助けようとして、自分が助けられているんだなと感じます」
要配慮者の災害時の支援というと、どうしても「誰が助けに行くのか?」といったことが議論の中心になります。でも、ちょっと見方を変えてみましょう。私たちは、みんなで一緒に助かるための「チーム」です。チームですから、全ての人に役割があります。
要配慮者の方は、香川県の事例ですと私たちに災害の備えの必要性を気付かせてくださり、早めの避難の警鐘を鳴らしてくださる存在でしょう。こんな風に考えてみると、取り組み方も変わってくるかもしれませんね。
今回ご紹介した要配慮者マイタイムラインは地域での活用事例ですが、社員や顧客に要配慮者の方がおられるケースもあるのではないでしょうか。
皆さんの会社のBCPでも、ぜひ取り組んでみてください。
地域と企業のBCPの他の記事
おすすめ記事
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方