公益通報者保護法の一部を改正する法律の概要
公益通報者保護法の改正の主なポイント
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2025/06/24
弁護士による法制度解説
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
昨年来の兵庫県政・兵庫県知事をめぐる騒動・混乱は、なかなか収束の気配をみせないところです。これまでの一連の騒動・混乱は、公益通報に対する不適法又は不適切ではないかとされる取扱いに端を発しています。
このような社会の注目を集める出来事に公益通報者保護法が関係していることもあり、同法についての社会的な関心も高まっているといえます。そうしたなか、本年(2025年)6月4日、公益通報者保護法の一部を改正する法律(以下「改正法」)が参議院本会議で可決され、成立し、同月11日に公布されました。
改正法は、公布の日から1年6月以内に施行されることになっており、少し先の施行ではありますが、今回は、改正の主なポイントについてご説明したいと思います。
改正法の提案にあたって国会に提出された資料によれば、提案理由として、「最近における国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令に違反する事実の発生状況等に鑑み、これらの法令の規定の遵守を図るため、公益通報者の範囲を拡大するとともに、公益通報をしたことを理由とする不利益取扱いの禁止等の措置を強化するほか、公益通報に適切に対応するために事業者がとるべき措置の充実強化を図るための措置を講ずる必要がある」とされています。
また、概要資料では、改正法において、➊事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上、➋公益通報者の範囲拡大、➌公益通報を阻害する要因への対処、➍公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止・救済を強化するための措置、を講ずるものとされており、これらの4つが改正の大きな柱であるといえます。
現行法においては、公益通報対応業務に従事する者を指定する義務(11条1項)及び公益通報対応体制整備義務(11条2項)の規定の施行に関し必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、事業者に対して「報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる」(15条)とされています。
これに対して、改正法においては、助言・指導と勧告とが条文上分離され、勧告に従わない場合の措置が設けられました(改正法15条の2)。
まず、従事者指定義務(11条1項)に反した場合の勧告(改正法15条の2第1項)→勧告に係る措置をとるべきことの命令(改正法15条の2第2項)→命令をした旨の公表(改正法15条の2第3項)→命令違反時の30万円以下の罰金(改正法21条2項1号)です。
次に、体制整備義務(11条2項)については、必要がある場合の勧告(改正法15条の2第4項)→体制整備義務に違反しており、勧告に従わない場合の公表(改正法15条の2第5項)という流れです。
また、改正法においては、現行法の報告徴収権限(15条)に加え、11条1項(従事者指定義務)の規定の施行に必要な限度において、「事業者の事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる」(改正法16条1項)とされ、立入検査権限が創設されました。
そして、報告懈怠・虚偽報告又は検査拒否については、30万円以下の罰金が科せられることになります(改正法21条2項2号)。法人も同様です(改正法23条1項2号)。
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