2012/10/22
防災・危機管理ニュース
密集市街地197地区の対策急務
地震などに伴い、同時多発的に火災が発生した場合、際限なく延焼して大規模な火災が発生したり、火災の影響で住民が地区外へ避難することが困難な密集市街地(地震時等に著しく危険な密集市街地)は全国に197地区あり、その面積は5745ha(東京ドーム約1228個分)に及ぶことがわかった。国土交通省が全国の市区町村を対象に調査し、このほど詳細な結果を公表した。
危険な密集市街地が多かった上位は大阪府(11地区、2248ha)、東京都(113地区、1683ha)、神奈川県(25地区、690ha)。大阪府はJR環状線外周西側の戦火を免れた地域を中心に老朽化した木造住宅が多く、特に大阪市は、面積で1333haと全国でも桁違いに該当地区が多い。
東京都は、老朽化した木造住宅の密集地域が広がっていることに加え狭い道路が多く、公園などのオープンなスペースが少ないといわれる墨田区(19地区、389ha)、北区(21地区、270ha)、品川区(23地区、257ha)に多い。神奈川県は鶴見区や神奈川区をはじめ沿岸部を中心に横浜市(23地区、660ha)が県の危険地域の多くを占める。
そのほかの地域も加えた危険な密集市街地は下表の通り。
国は住生活基本計画(全国計画)で、約6000haの危険な密集市街地を2020年度までに概ね解消することを目標にしている。各市区町村もまちづくり計画などを策定し道路の拡幅、地下に貯水槽を設けた公園などの整備といったハード面と、住宅の建て替えに関連した助成金の提供、防災イベントによる住民への啓発活動などソフト面の両面で対策を進めている状況だ。
今回の調査は、地震発生時の市街地大火の危険性を判断する基準として従来から用いられている 「延焼危険性」の指標に加え、地震時等における避難の困難さを判断する基準として「避難困難性」の指標を併せ考慮された。加えて個々の地域の特性を踏まえ、各地方公共団体が「地震時等に著しく危険な密集市街地」としての位置づけの要否を判断した。
※面積は小数点1桁で四捨五入しているため合計値が一致しない場合がある
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方