画像を拡大 (出典:FM Global / 2023 FM Global Resilience Index)


本連載では、米国の損害保険会社FM Globalが公開している「FM Global Resilience Index」を度々紹介してきたが(注1)、2023年6月にそのデータが更新されて2023年版となった。これは同社がさまざまな情報源から得た情報を基に、約130カ国のビジネス環境に関するリスクを評価した結果をまとめたものである。

このデータには下記URLから無償でアクセスできる。
https://www.fmglobal.co.uk/research-and-resources/tools-and-resources/resilienceindex

上のURLで表示されるページの左上にある「View Index」というところをクリックすると、本稿のトップに掲載した画面となり、地図上でクリックした国・地域のリスクに関する情報が表示される。またページの右上にある「RESILIENCE INDEX RESOURCES」という部分からは、分析結果のサマリーや調査分析方法の詳細などをPDFファイルでダウンロードできる。

本稿のトップに掲載した画像は日本のスコアとランクを表示させた状態だが、このスコアやランクが表示されている枠内をクリックすると、図1のように日本に関する評価結果の内訳が表示される。これらのインターフェイスは、細部はブラッシュアップされているものの、基本構造については少なくとも 2018 年版から変わっておらず、継続的に使用しているユーザーにとってはありがたいであろう。

画像を拡大 図1.  日本に関する評価結果の表示画面 (出典:FM Global / 2023 FM Global Resilience Index)

なお、図1の左上に「Filters」と書かれた3つのボタンがあるが、これは恐らく2023年版から追加されたと思われる(少なくとも本連載で過去に紹介した2020年版には無かった)。最初は「None」が選択されているが、「Climate Risk」(気候変動リスク)や「ESG」(環境・社会・ガバナンス)のボタンをクリックすると、これらに関連する指標だけが強調表示される。図1は「ESG」をクリックした状態であり、15の指標のうち図の左側にある9項目だけが、右側のグラフで濃いグレーになっている。

ちなみに図1で最も評価値が低いのは、「Economic」(経済)というカテゴリに含まれている「Productivity」(生産性)であり、130カ国中で31位となっている。これは過去5年間でほとんど変動していない。ちなみにお隣の韓国は過去5年間で30位から27位へと、わずかずつではあるが上昇している。

やや脇道にそれたが、図1の画面にこのようなフィルター機能が追加されたということは、ユーザーの中で気候変動やESGに関するリスクに対する関心が高まってきたのだろうと推測できる。つまり外国人(外国企業)が日本のビジネス環境におけるリスクについて調べるときに、これらのフィルターにあてはまる部分が特に注目される可能性が高いのではないか?ということである。

そういう観点であらためて日本に対する評価項目を見ると、まず気候変動リスクに該当する2項目のうち、「Crimate Risk Exposure」(気候変動リスクに対する暴露)が114位となっている。これは気候変動によって極端化すると言われている、暴風や豪雨、洪水などの自然ハザードによる悪被害を受けやすいことを示している。このような現状認識が共有されれば、日本においても気候変動対策への関心がもっと高まってもおかしくないと思うのだが。

またESGに該当する9項目の中では「Corporate Governance」(企業統治)が42位となっている。数字だけを見るとさほど低くないようにも感じるが、日本の総合ランクが24位であることを考えると、コーポレートガバナンスが日本の弱点になっているように見える。記録の改ざんや秘匿、不適切な廃棄などの不祥事が民間企業/公的機関を問わず度々報道される状況を考えると、何となく納得できるような気もする(筆者の私見である)。いずれにしても日本企業は、このような部分が外国人(外国企業)から特に注目される可能性があることは認識しておいた方が良いのではないかと思う。