【北京時事】中国の李強首相は27日、天津市で開幕した世界経済フォーラム夏季会合(夏季ダボス会議)で基調演説し、台湾問題などで対立を深める米国を念頭に、対話を重ねることで「誤解や間違いを避けることができる」と訴え、意思疎通を続ける考えを示した。米中関係は昨年以降、米国による対中半導体輸出規制の強化や、中国偵察気球の撃墜などを受けて急速に悪化した。ただ、最近は米企業幹部やブリンケン米国務長官が立て続けに中国を訪問するなど、本格的に対話を再開する兆しが出ている。
 李首相はまた、欧米や日本で、経済安全保障の観点からサプライチェーン(供給網)の中国依存を見直す「デリスキング(リスク軽減)」の動きが活発化していることに対し、「誤っている」とけん制。中国経済について、5%前後と設定された政府の年間成長率目標を「おそらく実現できる」と予想した上で、「中国は高レベルの対外開放を続ける」と、対中投資の拡大を呼びかけた。
 ただ、中国では7月1日から「国家の安全や利益に関わる文書、データ、資料、物品」の窃取などを摘発対象とする「改正反スパイ法」が施行される予定。外資企業の間では、社員拘束などへの懸念が高まっている。 

(ニュース提供元:時事通信社)