【カイロ時事】ロシアのウクライナ侵攻開始から24日で1年半となる中、双方のドローン攻撃は激しさを増し、23日も両国で被害が発生した。ロシアでは首都モスクワのビルにドローンが激突。侵攻の長期化で、双方は相手国民の不安をあおるためにドローン攻撃を強化しているもようだ。
 ウクライナ当局は23日、北東部スムイ州でロシアのドローンが学校に激突し、校長ら関係者4人が死亡したと明らかにした。建物は「完全に破壊された」という。
 これに先立ち、ウクライナ空軍はロシアが22日夜から23日未明にかけてドローン20機をウクライナ領内に飛ばしたが、うち11機を南部のオデッサ州とザポロジエ州で迎撃したと発表。地元メディアによれば、オデッサ州では穀物倉庫などが被害を受け、火災が一時発生した。
 一方、ロシア国防省によると、モスクワでは23日未明、ドローン3機が飛来し、うち2機が郊外で撃墜されたが、1機が市内の新都心「モスクワ・シティ」の高層ビルに衝突した。ソビャニン市長が通信アプリ「テレグラム」に投稿したところでは、高層ビルに近い住宅の窓が割れたが、負傷者はいないという。
 モスクワ市内と郊外へのドローン攻撃は、今月18日から6日連続。モスクワ・シティの高層ビルは7月30日と今月1日にも損害を受け、18日には隣接する展示場にドローンが落下している。
 また、ウクライナと国境を接するベルゴロド州のグラトコフ知事は23日、州内に爆発物を搭載したドローンによる攻撃があったと発表。「民間人3人が殺害された」と説明した。
 停滞が指摘されるウクライナの反転攻勢に関し、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は22日、欧米当局者の話として、ウクライナが戦略的に重要な南部に部隊と兵器を重点的に投入せず、東部にも「ほぼ均等」に配置しているためだと伝えた。米国の関係者らはウクライナにザポロジエ州の要衝メリトポリへの進軍に集中するよう助言したという。 
〔写真説明〕23日、ドローン攻撃で損傷したモスクワ市内の高層ビル付近に集まった警官ら(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)