日本新聞協会は30日、「生成AI(人工知能)に関する基本的な考え方」と題する見解を公表した。生成AIによる報道コンテンツの無断使用が進むことで報道機関が打撃を受け、国民の「知る権利」を阻害しかねないとして、著作権法の改正を含む早期のルール整備を求めている。
 見解は、現行の著作権法では生成AIが学習過程で著作権者の許諾なしに報道コンテンツを収集できるため、対価を払うという考えが生じず、報道機関の知的財産が「取られ放題」になっていると指摘。過去記事のデータベースを有償で提供している新聞社に対しても、利益を不当に害している可能性が高いとした。
 AIによる生成物が引用元を表示している場合も、新聞社ではなく提供先のサイトであることが多く、情報発信元のサイトが訪問されない問題が生じているとして、「放置すれば報道コンテンツの無秩序な利用に拍車を掛けるのは確実だ」と懸念を示した。生成AIが偽情報を生み出す危険性や、プライバシー侵害、世論誘導などの問題点も指摘した。
 その上で、「AIの開発者やサービス提供者が適切な対価を支払うことは当然」と表明。著作権法の解釈を見直すだけでは根本的な解決につながらず、法改正を早急に検討すべきだとした。 

(ニュース提供元:時事通信社)