【ニューヨーク時事】2023年の通期決算で5年連続の最終赤字に陥った米航空機大手ボーイング。相次ぐ墜落事故で機体の信頼性が揺らぐ中、コロナ禍もあって受注が低迷。黒字化に向けて今期をスタートした直後に機体事故が発生し、出はなをくじかれた。最高経営責任者(CEO)交代で、経営立て直しを図る考えだが、ライバルの欧州エアバスとの差は簡単に縮まりそうになく、再建の行方は不透明だ。
 ボーイング製航空機は18、19年と2年連続で墜落事故を起こし、乗客ら計340人超が死亡。航空各社からの発注キャンセルが響き、23年通期決算では22億ドル(約3300億円)の純損失を計上した。
 一方のエアバスは同年、3年連続で多額の黒字を確保。新規受注は約2100機と、ボーイングの1.3倍に上った。
 米アラスカ航空が運航するボーイング737MAX9型機の窓が吹き飛んだ今年1月の事故では、必要なボルトが取り付けられていなかったことが発覚した。米当局は737MAXシリーズの増産を認めない方針を決定。ボーイングの競争力低下と、収益力のさらなる悪化は不可避の情勢だ。
 同社株は、カルフーンCEOが今年末に退任する人事を今月25日に発表したことを受け、ようやく下げ止まった。今後の焦点は後任人事だが、防衛部門が売上高の3割を占め、安全保障に絡む情報にも触れるため「適任者探しは難航する」(市場参加者)との観測が浮上。業績回復は険しい道のりとなりそうだ。 
〔写真説明〕工場に並ぶボーイング737MAXシリーズの機体=2019年3月27日、米ワシントン州レントン(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)