2024/05/17
防災・危機管理ニュース
暗号資産(仮想通貨)交換業者のデジタルアセットマーケッツ(DAMS、東京、西本一也社長)は、デジタル証券の原簿を安全に管理するための基礎技術を開発した。解読が困難な最新の「耐量子計算機暗号(PQC)」を活用し、保管するデジタル証券のデータや個人情報の安全性を高めた点が特長。同社へ出資しているインタートレードと共同で特許を取得した。今後はこの技術を生かした金融・証券領域の新規事業を創出する。
国内では2020年5月、デジタル証券について規定した改正金融商品取引法が施行され、不動産分野を中心にデジタル証券の発行が急速に広がっている。証券をデジタル化すると、従来は難しかった証券や社債発行の小口化が可能になり、投資家の利便性が向上する長所がある半面、サイバー攻撃にさらされる危険性も高まる。
特に、高い計算能力を持つ量子コンピューターが普及すると、多くの分野でサイバー攻撃の防御に使われている「RSA暗号」や「楕円曲線暗号」は、比較的短時間に解読される恐れがある。このため、専門家らはより安全性の高いPQCへの移行を訴えるとともに、暗号技術の標準化を目指している。
DAMSはこのほど「多変量多項式型」と呼ばれるタイプのPQCを用いた原簿管理システムを開発。悪意の第三者によるデータの盗み見や改ざんを困難にした。西本社長は「次世代型の金融・証券取引に求められる、即時グロス決済(RTGS)を見据え、しっかりシステム開発に取り組みたい」としている。
デジタルアセットマーケッツにはインタートレードのほか、三井物産や日本取引所グループ、マネックスグループ、日産証券、兵庫県を地盤とする光証券などが出資している。
(ニュース提供元:時事通信社)
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