技能実習に代わる外国人材受け入れ制度「育成就労」創設を柱とする改正入管難民法などが14日の参院本会議で、与党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。立憲民主、共産両党などは反対した。新制度は2027年にも開始。1993年に始まった技能実習制度は廃止される。
 新制度は国内の深刻な人手不足を踏まえた「人材確保」に主眼を置く。林芳正官房長官は記者会見で「わが国が選ばれる国になるには、外国人の人権を適切に保護し、適正な労働条件の下で暮らし、働くことができる環境整備が重要だ」と述べた。
 新制度は未熟練の外国人労働者を3年間で育成し、最長5年働ける在留資格「特定技能1号」の水準に引き上げることを目指す。さらに熟練した技能が必要な「特定技能2号」に移行すれば、事実上無期限の滞在や家族の帯同が可能となる。
 育成就労の対象分野は特定技能と一致させ、円滑な移行を促す。政府は今後、有識者会議を設置し、受け入れ見込み数といった運用方針を検討する。
 現行制度は実習生の「転籍」(転職)を原則として認めておらず、過酷な労働環境を強いる「人権侵害の温床」と批判されてきた。新制度は1~2年の就労期間や技能水準などの要件を満たせば、同じ職種に限って転籍を認める。
 外国人の受け入れ仲介や勤務先の監督を担う「監理団体」は「監理支援機関」に名称を変更し、許可要件を厳格化する。受け入れ企業と密接な関係を持つ役職員の関与制限や外部監査人の設置義務付けによって独立性・中立性を高める。
 現行制度下では、技能実習生が母国の送り出し機関に多額の手数料を支払い、借金を抱えているケースが少なくない。新制度は、適正な手数料の基準や外国人と受け入れ企業が負担を分担する仕組みなどを設けるとした。
 新制度の導入に伴い日本に長期滞在する外国人の増加が見込まれる。このため改正法は、永住者が税や社会保険料の納付を故意に怠った場合、永住許可を取り消せるようにする規定を盛り込んだ。政府は今後、具体的な取り消し事例などをガイドライン(指針)で公表する。 
〔写真説明〕参院本会議で改正入管難民法が可決、成立し、一礼する小泉龍司法相=14日、国会内

(ニュース提供元:時事通信社)