2024/07/02
防災・危機管理ニュース
能登半島地震で設置された避難所では、発生から半年たった現在でも和式の仮設トイレが使われている。国土交通省は誰もが快適に使える仮設トイレとして洋式便座を推奨しているが、NPO法人の調査では石川県輪島、七尾両市の避難所では85%が和式だった。高齢者には膝への負担も大きく、避難者からは「我慢して体調が悪化した」との声も上がる。
調査はNPO法人「日本トイレ研究所」(東京都港区)が2月に実施。輪島、七尾両市の避難所計21カ所で現場確認などを行ったところ、仮設トイレ計91基のうち約85%の77基が和式だった。和式の2割は、簡易便座を取り付けていた。
珠洲市の坂口守さん(61)が身を寄せる避難所の仮設トイレは今も和式だ。坂口さんは「洋式がある役所や病院まで車で行っている」と打ち明ける。「避難所には他に3家族が残るが、みんな不満を口にする。私自身もトイレを我慢しすぎて体調が悪くなったこともある」と訴える。
同法人によると、2016年の熊本地震では発生から3時間以内にトイレに行きたくなった人が4割に上ったといい、担当者は「トイレは水や食料より早く必要だ」と強調。能登半島地震ではトイレ設置は早かったが、給水やくみ取り方法などに課題があったという。
国交省は16年、男女ともに快適に使用できる仮設トイレを「快適トイレ」と名付け、(1)洋式便座(2)水洗機能(3)臭い逆流防止機能―といった標準仕様を規定。建設現場や避難所などでの普及を推進している。同法人の島村允也研究員は「今後の災害では、洋式の仮設トイレ設置がさらに求められるのでは」と話している。
〔写真説明〕避難所に設置された和式の仮設トイレ=6月25日、石川県珠洲市
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/05/13
-
「まさかうちが狙われるとは」経営者の本音に向き合う
「困った人を助け、困った人を生み出さず、世界中のデータトラブルを解決します」。そんな理念のもと、あらゆるデータトラブルに対応するソリューションカンパニー。産業界のデータセキュリティーの現状をどう見ているのか、どうレベルを高めようとしているのかを聞きました。
2025/05/13
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/05/05
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方