自社だけでの事業計画策定に限界

株式会社NTTデータ経営研究所は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が提供する「NTTコム リサーチ」登録モニターを対象に、東日本大震災発生後、企業の事業継続の取り組みや意識にどのような変化が生じたか、現在、企業各社はどのような課題認識を持っているかなどについて調査を実施した。3.11から4年たってもBCP策定は停滞段階にあり、自社だけでの事業計画策定に限界がある。実質的な事業継続性担保のためにも、企業間連携を視野に入れた解決策が望まれるとしている。

調査期間は2014年12月18日~2015年1月8日。小規模事業者を除くBCP(事業継続計画)、またはリスクマネジメントについて認識のある人を対象に実施し、有効回答数は1038人だった。

BCP策定状況とその変化
すでにBCPを策定済みの企業は約4割。策定中まで含めると6割を超える。従業員規模が500人似上の企業ではほぼ半数以上がBCPを策定している。業種別では金融・保険業が67.3%。策定中を含めると8割を超え、次いで公共機関(策定済み56.4%)が高い。地域別では東北(50.0%)、関東(45.4%)の順に高い。資本金別では、資本金10億円以上で半数以上、年間売上高では100億円以上で半数以上の企業がBCPを策定している。

BCP策定対象とその変化
BCPで想定するリスクとして「地震」を挙げる企業が約7割。次いで、風水害を含めた自然災害の順となった。対象としている拠点としては、9割の企業が本社を想定。3.11以降においてもBCP想定拠点の拡大は見られない。

企業の事業継続に向けた取り組み(対策)とその変化
初動段階での対策は比較的高い策定状況にあるが、事業継続に必要となる復旧方針や復旧手順、代替策を整備できているのは半数以下。取引先等、実質的な事業継続に欠かせない外部との連携は3割を切る。

BCPに対する課題認識とその変化
半数以上の企業が現在のBCPに対して課題認識をもっている。その多くが、自社単独でのBCP自体に限界があり、外部連携を実現するための解決策が求められているとしている。一方で、代替策としての人的資源確保、BCPを推進する人的資源確保、BCP策定・運用に対するコミットメントといった「人」に関する課題が徐々に大きくなってきている。

次代のBCPに求められる解決策
外部連携による解決策案は「是非取り組みたい」「条件が合えば取り組みたい」で5割以上。連携施策としては、危機発生時における被災状況共有、連携対象としては密接な取引関係のある企業(調達先や納入先等)が多い。連携施策としてポジティブな見解が多いのは「危機発生時における情報の共有」。連携対象としてポジティブな見解が多いのは「密接な取引関係のある企業」となった。解決策案を成功に導くための条件としては、強力なリーダーシップ(推進力のある運営主体)と、公正性(地方自治体など)を推す意見が多かった。