【バンコク時事】5月に発生したタイとカンボジアの軍事衝突を受け、両国間の緊張が一時高まり、タイ政府はカンボジアとの国境検問所で観光客の出入国を禁止した。カンボジア軍は6月8日に衝突地域から撤退。両国は14日に協議を行う。

 タイ軍とカンボジア軍は5月28日、タイ東部ウボンラチャタニ県とカンボジア北部プレアビヒア州の国境付近で衝突。銃撃戦が約10分間続き、カンボジア兵1人が死亡した。

 両国の国防相は6月5日に会談。タイ側の説明によると、衝突地域からカンボジア軍が撤退するという提案をカンボジア側が拒否し、兵力を増加させたという。

 タイ政府は7日、主権の保持を理由に、カンボジア北西部ポイペトと接するタイ東部サケオ県などの国境検問所で営業時間を短縮し、観光客の出入国を禁止した。タイ東北部のウボンラチャタニ、ブリラム、シサケート、スリン各県や東部のチャンタブリ、トラート両県の検問所でも同様の措置を取った。

 タイのプームタム国防相によると、カンボジア軍は8日、衝突地域から撤退した。プームタム氏は「双方は紛争と対立を減らす方法を見つけようとしている」と強調。カンボジアのフン・マネット首相はカンボジア国民に対し、「紛争をエスカレートさせる過激な行動は控え、政府を信頼してほしい」と呼び掛けた。

 両国の国境は未画定地域が複数あり、2008~11年にはカンボジアの世界遺産プレアビヒア寺院遺跡周辺で両国軍が交戦し、死傷者が出た。今年2月にはスリン県の国境付近の遺跡を訪れたカンボジア人兵士や市民らがタイ軍を挑発した。(了)

(ニュース提供:時事通信 2025/06/09-07:28)

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