2025/06/16
防災・危機管理ニュース
【カイロ、イスタンブール時事】イスラエル軍は16日の声明で、「イラン各地で航空優勢を確保する活動を続けている」と表明した。15日には、作戦開始以降でイスラエルから最も遠く離れた標的とされる東部マシャドの空港を空爆。攻撃対象はイラン全土の核や軍事施設、政府庁舎、エネルギー関連施設に拡大し、イラン保健省によると攻撃開始以降の死者は224人に上った。
13日の作戦開始直後、イスラエル軍は西部から首都テヘランにかけてイラン側の防空システムを重点的に攻撃。対象範囲を広げ、イラン側の反撃を無力化しようとしている。軍報道官は16日、テヘラン上空での航空優勢を獲得したほか、イランが持つ地対地ミサイル発射装置の3分の1を破壊したと明らかにした。
イスラエル軍は、イランの最高指導者ハメネイ師直属の軍事組織「革命防衛隊」の精鋭で、対外工作を担う「コッズ部隊」の複数の司令拠点も空爆。「代理勢力を通じたテロ攻撃を行っていた」と主張した。イスラエルのネタニヤフ首相は15日、米FOXニュースのインタビューで、革命防衛隊の情報部門トップを殺害したと述べており、同隊への攻撃を一段と強化した形だ。
イラン外務省報道官は、西部ケルマンシャー州で病院が攻撃されたとして「戦争犯罪だ」と非難した。
また、複数の米メディアは15日、イスラエルが計画したハメネイ師暗殺にトランプ米大統領が反対したと伝えた。トランプ氏はSNSで「イランとイスラエルは取引すべきだ」と訴えた。
一方、イランも16日、イスラエルの北部や中部へ多数のミサイルを発射し、報道によれば8人が死亡。破壊力が強い極超音速ミサイルが多数使われたとされ、革命防衛隊は防空システムの誤射を誘発し、被害を拡大させたと主張した。
イスラエル側でこれまでに確認された死者は計24人。カッツ国防相は16日、「テヘラン市民は直ちに代償を払うことになる」と警告した。
ハッカビー駐イスラエル米大使は16日、商都テルアビブの米領事館近辺で、イランのミサイル着弾による軽微な被害があったとX(旧ツイッター)に投稿した。米国人の負傷者はいないという。
〔写真説明〕15日、イランの首都テヘラン南部で、イスラエル軍の攻撃を受けた石油関連施設から立ち上る炎と黒煙(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
カムチャツカ半島と千島海溝地震との関連は?
7月30日にカムチャツカ半島沖で発生した巨大地震は、千島からカムチャツカ半島に伸びる千島海溝の北端域を破壊し、ロシアで最大4 メートル級の津波を生じさせた。同海域では7月20日にもマグニチュード7.4の地震が起きており、短期的に活動が活発化していたと考えられる。東大地震研究所の加藤尚之教授によれば、今回の震源域の歪みはほぼ解放されたため「同じ場所でさらに大きな地震が起きる可能性は低い」が「隣接した地域(未破壊域)では巨大地震の可能性が残る」とする。
2025/08/01
-
巨大地震後に噴火 カムチャツカ半島・クリュチェフスカヤ火山地震と噴火の関係は?専門家に聞く
7月30日に発生した、カムチャツカ半島沖を震源とするマグニチュード8.7の地震は、遠く離れた日本の太平洋沿岸一帯に、広く警報を発令させるほどの津波をもたらした。さらにカムチャツカ半島では地震発生後に、クリュチェフスカヤ火山が噴火した。巨大地震がこの噴火の引き金になったのか。地震と噴火の関係について、火山と地震の観測が専門で、調査のために約20回もカムチャツカ半島に足を運んでいる、北海道大学理学研究科附属地震火山研究観測センター教授の高橋浩晃氏に聞いた。
2025/07/31
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/29
-
-
-
「想定外」を乗り越える力コカ・コーラ ボトラーズジャパンが挑む、危機管理の再構築
コカ・コーラ社製品の製造、販売、自動販売機のオペレーションなどを手掛ける、コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社は、2024年の能登半島地震を機に、危機管理体制の再強化に乗り出している。直接的な被害は免れたものの、系列他社の被災や支援要請の集中を通じて、情報伝達や意思決定、業務の優先順位といった多くの課題が顕在化した。同社は今、グローバル基準の危機対応フレーム「IMCR」の再徹底を軸に、全社一丸の再構築に踏み出している。
2025/07/21
-
-
-
-
ランサムウェアの脅威、地域新聞を直撃
地域新聞「長野日報」を発行する長野日報社(長野県諏訪市、村上智仙代表取締役社長)は、2023年12月にランサムウェアに感染した。ウイルスは紙面作成システム用のサーバーとそのネットワークに含まれるパソコンに拡大。当初より「金銭的な取引」には応じず、全面的な復旧まで2カ月を要した。ページを半減するなど特別体制でなんとか新聞の発行は維持できたが、被害額は数千万に上った。
2025/07/10
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方