2025/06/17
防災・危機管理ニュース
【バンフ(カナダ)時事】カナダでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、重要鉱物のサプライチェーン(供給網)が論点の一つとなる。中国がレアアース(希土類)の輸出規制を強め、世界各地で自動車生産が一時停止に追い込まれるなど打撃が大きい。調達先の対中依存からの脱却を目指す。
中国は4月、米国による「相互関税」への対抗措置としてレアアースの輸出規制を強化した。中国からの輸入の承認が滞り、米国だけでなく、各国の自動車部品メーカーの調達に支障を来している。ドイツやインドなどで生産停止の波が広がり、日本でもスズキが小型車「スイフト」の一時生産停止を余儀なくされた。
米地質研究所(USGS)によると、中国のレアアースの生産シェアは7割に上る。電気自動車(EV)や半導体、戦闘機など幅広い製品に不可欠な素材で、G7各国は経済安全保障の観点から中国への過度な依存を共通の課題と位置付けてきた。
昨年のイタリアでのサミットでは、中国に対し、「世界の供給網の重大な混乱につながり得る輸出管理措置を控えるよう求める」と要求。調達網の多角化を進める姿勢を強調してきた。
今回、議長国カナダはG7サミットにブラジルや南アフリカなども招待。重要鉱物の産出量が多いG7以外の国との関係強化も狙いの一つで、脱中国の供給網形成を見据える。重要鉱物の供給網強化に関する成果文書をまとめる見通し。
重要鉱物を巡っては、米中間で火種がくすぶる。両国はレアアースの輸出規制の緩和を履行することで合意に至ったが、ロイター通信によると、中国側は戦闘機やミサイルシステムに必要な一部のレアアースの輸出を認めていないことが判明。米中対立が再燃すれば、世界経済が動揺しかねないリスクもはらんでいる。
〔写真説明〕先進7カ国首脳会議(G7サミット)のシンボルマーク=14日、カナダ・バンフ
(ニュース提供元:時事通信社)

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