埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受けて、国土交通省は下水道管の点検頻度や手法を見直す方針だ。ただ、老朽化した管が全国で増加する中、人口減による料金収入低下や資材価格高騰の影響で下水道事業の経営状況は厳しい。各自治体の職員不足も深刻で、適切な維持管理や計画的な更新を進められるかは不透明だ。
 同省によると、全国の下水道管の総延長は2023年度末時点で約50万キロ。このうち、標準耐用年数とされる50年を経過した管は約4万キロある。老朽化の進行に伴い、43年度末には約21万キロに達する見込みだ。
 同省は今後、事故現場と状況が類似した大規模な下水道管を中心に、点検頻度を見直す方針。現行では、腐食しやすい地点は5年に1回以上の点検を各自治体などに求めているが、今後は硫化水素の濃度が高く腐食の進行が速かったり、地盤が弱く陥没が拡大しやすかったりする「要注意箇所」は3年に1回以上に増やす考えだ。
 また、来月8日投開票の衆院選後の国会には、下水道法の改正案を提出する予定。管の健全度を診断する基準や、維持管理のしやすさを踏まえた構造基準を定め、老朽化した管の早期発見と計画的な更新を進める方向だ。
 ただ、総務省によると、23年度の下水道職員数は約2万7000人で、ピーク時の1997年度と比べて約4割減った。国交省の担当者は「各自治体の現場が人手不足に悩む中、(点検頻度や基準を)厳しくし過ぎても実施できない。現実的なラインを見極めたい」と話している。 
〔写真説明〕道路陥没事故の工事現場=26日、埼玉県八潮市

(ニュース提供元:時事通信社)