2020/09/25
事例から学ぶ

感染防止の要点は人との接触を極力断つこと、在宅勤務が求められる理由はそこにある。が、そのためにはリモート環境をはじめとする社内体制の整備が不可欠なうえ、一方では生産性への懸念が否めない。そもそも在宅での勤務が不可能な業務も多く、社内の不平等感や社員のモチベーション低下といった壁も立ちはだかる。いずれも、以前からいわれてきた「働き方改革」の課題だ。IT サービス企業のSCSK(谷原徹代表取締役 社長執行役員 最高執行責任者)はアフターコロナをにらみ、働き方改革をさらに加速する。(※本文の内容は4月16日取材時点の情報にもとづいています)
SCSK
東京都江東区
国内の事業拠点11 カ所とデータセンターに約5000 人の社員が働いている。うち4000人弱、実に73%が在宅勤務に移行した。平時の在宅勤務者は1日あたり数百人だから、おおむね8倍。ここへきてリモートワークが一気に進んだことになる。
ただし、業種・業態や規模を問わず企業のIT 環境を多方面からサポートする同社は、自社オフィス以外で働く社員も多い。顧客先で基幹システムの保守・運用にあたる社員が約3000 人。在宅勤務の可否は相手企業に委ねられ、自己都合で現地を離れることはできない。なかには一時的にも業務を止められない指定公共機関もある。
個々の就労条件の違いはこれまでも、働き方改革を進める同社の課題となってきた。とくに顧客先で勤務する社員は、リモートワークの実施がほとんど進んでいない。だが、それがいま急激に変化、実施率33%まで上昇している。

「緊急事態宣言によって企業の意識が変わったことは間違いない。事業部門へのヒアリングでは在宅勤務に向け『環境整備中』という回答も多く、理解が浸透している。近いうちにこちらも6割がリモートワークに移行できる見込み」と、同社執行役員で人事・総務グループ長の小林良成氏は話す。
事例から学ぶの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/01
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
-
-
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方