2026/03/10
防災・危機管理ニュース
東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島各県の42市町村の少なくとも約4割が、小中学生への防災教育に「課題がある」と認識していることが8日、時事通信の取材で分かった。来年度、大震災後生まれの世代が中学3年生となる。当時を知らない児童・生徒への防災教育はどうあるべきか模索が続く。
時事通信は1~2月、被災3県の42市町村の教育委員会にアンケート調査を実施した。回答があった37市町村のうち、16自治体が防災教育をする上で「課題がある」と答えた。
「生まれる前の出来事を『自分事』として捉えさせるのが難しい」(宮城県多賀城市)、「若い教員への研修」(岩手県山田町)といった課題を挙げる自治体があり、被災の経験がなかったり記憶が薄かったりする世代への対応に苦慮する様子がうかがえた。
大震災から時間が経過し、「危機管理マニュアルの更新や確認が必要」(同県久慈市)、「毎年、同じような内容になってしまう」(福島県川内村)との回答も。「防災教育イベントで使う備蓄食料やグッズの購入が物価高で厳しい」(同県相馬市)との声もあった。
福島県では、双葉町の小中学生が同町の伝承館や津波被害地域で震災学習をするため、約80キロ離れた避難先のいわき市からバスで往復する必要があり、「移動に時間がかかる」(担当者)と負担の大きさを挙げる。震災後の移住者が元の住民の数を上回る大熊町は「(町外で育つなど)さまざまな背景を持つ児童・生徒に当事者意識を持たせるにはどうすればよいか」(同)と明かす。
教育現場では模索が続く。宮城県東松島市は1月、語り部人材育成のため、小中学生に震災について関心があることを調べ、発表させる取り組みを始めた。相沢進教育長は、語り部の高齢化が進む中、「風化の心配だけでなく、進学や就職で市を出ても防災、避難の大切さを伝えられる人になってほしい」と話す。岩手県陸前高田市の中学校では、自らの学びを深める狙いも込め、震災後に交流を始めた名古屋市の中学生を津波伝承館や復興祈念公園に案内し、教訓を伝えている。
若い世代への防災教育について、東京大大学院の開沼博准教授は「子どもたちが自ら問いを立て、その答えを出していく探求学習的な視点が大事だ」としている。
〔写真説明〕講師を担当した地元語り部の案内を受ける子どもたち=1月10日、宮城県東松島市
(ニュース提供元:時事通信社)

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