【シリコンバレー時事】9月に退任する米アップルのクック最高経営責任者(CEO)は、カリスマ創業者の故スティーブ・ジョブズ氏の後を引き継ぎ、同社を世界で最も価値のある企業の一つへと成熟させた。一方、人工知能(AI)への対応は後手に回り、後任のジョン・ターナス上級副社長に課題を残した。
 他のコンピューター会社で調達業務を担当していたクック氏は1998年、ジョブズ氏の招きでアップルに入社。熱心な仕事ぶりで知られ、後に最高執行責任者(COO)としてサプライチェーン(供給網)管理などで同社を支えた。
 2011年にCEOに就任して以降は、腕時計型端末「アップルウオッチ」や音楽配信サービスなど、ジョブズ氏が生み出したスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」を中核に、製品とサービスのエコシステムを強化・発展させた。就任直後と比べ、同社の時価総額は10倍以上に膨れ上がった。
 難局を乗り切る手腕も評価された。昨年には、トランプ米大統領からアイフォーンを国産化しなければ多額の関税を課すと迫られたが、米国内への巨額の追加投資や部品の国産化推進でトランプ氏を納得させ、関税の直撃を免れた。今年9月には取締役会長に就任し、各国の政策当局者との交渉を担うという。
 ただ、AIブームには乗り遅れたとして批判を浴びている。昨年6月の年次開発者会議では、担当幹部がAI強化計画の遅れを釈明する事態に陥った。各社がAIサービスや端末の開発を急ぐ中、ハードウエアの責任者を務めてきたターナス氏はどのような新製品を投入するか、CEO就任直後から手腕を問われることになりそうだ。 
〔写真説明〕米アップルの発表会でスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の新製品などを紹介するクック最高経営責任者(CEO)=2021年9月、カリフォルニア州クパチーノ(同社提供・AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)