世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長は18日、都内で時事通信のインタビューに応じ、WTO加盟166カ国・地域の全会一致に基づく多国間合意が困難となる中、同じ考えを持つ有志国がまずは合意し、その後他の加盟国へ広げるやり方が今後増えるとの見通しを示した。日本は「重要な中堅国(ミドルパワー)だ」とし、有志国合意を含めた「21世紀に適したWTOルールの改革」を主導するよう訴えた。
 3月末、アフリカ中部カメルーンで開催されたWTO閣僚会議では、電子商取引に対する関税免除の延長を全会一致で合意できなかった。ただ、日本を共同議長とする有志国は免除延長に関する協定を先に合意し、他の加盟国にも参加を呼び掛けている。
 オコンジョイウェアラ氏は全加盟国・地域で合意に至らなかったのは「失望した」としつつも、最終的な包括合意に向けた取り組みを続けていると述べた。また、有志国合意が先行し、他の加盟国に後からの参加の余地を残すのは「新たなやり方だ」と言明。感染症対策など世界的な課題では引き続き全加盟国による多国間合意が求められるが、有志国合意は多国間と「並走できる」と強調した。
 オコンジョイウェアラ氏は米イランの紛争による原油価格高騰が、世界貿易を圧迫する可能性を懸念。特に日本は、事実上封鎖されている物流の要衝ホルムズ海峡に原油供給ルートを依存しており、「油価が高止まりすれば、極めて厳しい打撃を受ける」と警告し、調達多様化が必要だとの認識を示した。
 トランプ米政権の高関税政策で世界の貿易環境は激変。オコンジョイウェアラ氏は「過去80年で最大の混乱に見舞われている」と警戒した。ただ、WTOによると、2025年のモノの貿易は前年比4.6%増と、伸びが当初の予想を大きく上回った。
 オコンジョイウェアラ氏は関税導入前の駆け込み需要や、「人工知能(AI)関連の貿易にけん引された」と分析。AIブームが「関税の影響を相殺した」との見方を示した。 
〔写真説明〕インタビューに答える世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長=18日、東京都千代田区
〔写真説明〕インタビューに答える世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長=18日、東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)