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前回までに、1990年8月2日のイラク侵攻後から1991年1月17日に始まった第一次湾岸戦争(砂漠の嵐作戦)発生まで、海外危機管理(1)から(8)で海外危機への対応をみてきました。

企業は、「組織の継続を前提(ゴーイング・コンサーン)とする」と言われています。したがって、企業にとり、海外危機管理はその危機を乗り越えて終わりではなく、危機を乗り越えた後の復興活動(レジリエンス)も大変重要です。今回の海外危機管理(9)から危機管理の最終段階であるレジリエンスについて見ていきたいと思います。

Ⅰ.レジリエンス(Resilience)の定義

1.定義

レジリエンスは、もともとラテン語の「Resilire: Re再び+silire 跳ね返る」が語源とされています。レジリエンスは当初、物理学の分野で「外から加えられた力によって変形した物質や物体が、どのくらい元に戻ろうとするか(跳ね返す力)」を表す言葉として普及しました。その後1970年代から心理学の分野で注目され始め、1985年に心理学者のラターが初めて論文で使用したと言われています。この論文の中で、「逆境に陥っても、問題を起こさずに、それをばねに成長をしている人がいるが、それはなぜか?」「強いストレスを体験した際、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になる人とならない人の違いはどこにあるのか」という研究が心理学の観点から報告されたことで、「脆弱性(Vulnerability)」の反対概念として「精神的回復力を表す」言葉としてレジリエンス(Resilience)が用いられるようになりました。

2.経営の観点

その後、最近では、ビジネスの世界でもレジリエンス(Resilience)という概念が使われ始めています。「逆境に陥っても、ビジョンを持ち続け、世のため、人のため貢献しつつ、経済的・心理的に回復し、持続的成長力に結び付ける力」として経営の観点ではつかわれています。

(出典:ビジネスレジリエンス思考 上田和勇氏著 同文館出版)