2016/05/10
【6月第1特集】 熊本地震の検証 6人の専門家に聞く“教訓をどう生かす?”
熊本地震 Photo Share 益城町編
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熊本地震が発生しておよそ2週間後の4月27日から4日間、被災地を訪れた。前週までは余震が多発していたが、記者の滞在中は体感できる余震はほとんどなかった。同行は本誌でもおなじみの一般社団法人日本防災教育訓練センター代表理事サニー神谷氏とレックスマネジメント代表取締役の秋月雅史氏、そして大分県でカメラマンとして活躍されている竹藤光市氏。竹藤氏は震災当日たまたま熊本県に別の取材で訪れていたため、地震直後から益城町入りして現地を取材。訪れた益城町役場では深夜に震度5強の地震も体験した。同氏は「まわりがみんな悲鳴を上げていた。上下左右に揺れて、地面が割れるかと思った。車もがくんがくん揺れていた。生きた心地がしなかった」と当日を振り返る。
福岡で集合した記者らは、事前にインターネットで益城町の特別養護老人ホームで物資が不足しているとの情報を得ていたため、まず物資を届けるべく益城町を目指した。当時は九州自動車道が被害のため熊本市内まで開通していなかったので、途中の植木インターから一般道に入るが、あたりはほとんど被災しておらず今回の地震が局所的なものであることを伺わせる。しかし益城市に近づくと様相は一変。ブルーシートのかかった家が見え始めたかと思うと、いたるところに倒壊した家屋が無残な姿を見せるようになる。
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建築の専門家は、「現在の耐震基準は大地震が連続して建物を襲うことを想定していない」とする。しかし、その想定外が熊本地震で発生してしまった。本日付(5月10日)の朝日新聞朝刊では「新耐震基準で全壊51棟 熊本・益城、00年以降の木造」との見出しが躍る。日経BP社の省エネNext編集長小原隆氏は、「活断層の近傍は家を建てないようにすべき。おりしも多くの自治体は今、コンパクトシティを目指し、立地適正化計画を作成している。居住誘導区域の設定を機に、活断層近傍では土地利用や建築の規制に踏み込んでもらいたい」と自身のフェイスブックで指摘する。(小原氏が執筆した記事は以下から閲覧できる)
「見逃された「活断層に住宅」のリスク」(日経ホームビルダー)
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/041500569/050200053/?ST=smartbuilding
首都直下地震や南海トラフ地震が発生した場合、首都圏に住む住民は耐震化や家具の転倒防止などを施した自宅での「在宅避難」が基本となる。しかし今回の熊本地震のように震度7が2回、震度4以上は104回、震度1以上は実に1351回(5月9日18時時点。気象庁ホームページhttp://www.jma.go.jp/jma/menu/h28_kumamoto_jishin_menu.htmlより)という未曽有の災害が私たちに降り注いだ時に、はたして「在宅避難」は可能なのだろうか。企業の耐震対策も、現在のままで十分なのだろうか。いたずらに不安をあおるわけではないが、今後の活発な議論が必要だと感じた。
次回は「南阿蘇編」をお送りします。
(撮影・文/大越 聡 機種/Canon EOS 80D)
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