■ ローカルスタッフとあまりにも違いすぎる待遇

実は、日本人駐在員とローカルスタッフの社内格差はこれだけではありません。まず、日本人駐在員は海外勤務ということもあり、基本的な給与に加え海外勤務手当が付きます。さらに、家族帯同で来る場合には家族用のマンションを与えられ、子どもがいる場合には学校手当ばかりか、一部の企業には教育費(塾などの補助教育)のようなものまでも準備している企業もあります。

また、通勤にも安全性や利便性を考慮してか、ほとんどの日系企業が専用の社用車をリースしていて、駐在員に直接運転させることは避けるため専用の運転手付きというのがほとんどです。そんなふうに会社への送り迎えはもちろん、アフターファイブのお店までの送迎、果ては土日のゴルフ場までの送迎などの手厚い待遇を与えていることも多いのです。

しかし、ローカルスタッフはどうでしょうか? 皆現地採用であるため、そのような手当てがないのはもちろんですが、日系企業の特徴として「ガラスの天井」と呼ばれる昇格の限界が存在するのです。つまり、どんなに頑張っても日本から来た駐在員たちと同等の待遇を受けることはまず無理だというのが現実なのです。そんな環境でどうして中国人ローカルスタッフが発奮して仕事にまい進できるでしょうか?

考えてみてください。ここ10年間に中国の経済力は大きく伸び、平均給与も毎年10パーセントアップが当たり前の状況の中、どんなに頑張ったとしても言葉もできない、来たばかりの日本人駐在員より待遇が低いとなれば、日系企業に残る理由はほとんど存在しません。結果、日系企業のそのような慣習に合う人だけが残ることになり、本当に実力のあるローカルスタッフは転職を繰り返しながらより良い待遇を与えてくれる企業へと転職していくのです。今では、中国の現地企業が日系企業よりも高待遇で人材を募集しています。今後はますます日系企業への就職を望む若者は少なくなることでしょう。

これ以上、日本人駐在員と現地ローカルスタッフの格差を大きくするような取り組みは避けるべきです。待遇格差の是正はもとより、会社への貢献度合いによる待遇の差別化を日本人、中国人の区別なく行えるような仕組み作りを検討する時期に来ていると考えます。

今もなお、上から目線の日系企業が存在します。既に多くのローカルスタッフはそのような雰囲気を敏感に感じ取っており、今後日系企業の中国事業の発展に「待遇格差の是正」が大きなウエートを占めることになると予測されています。

(了)