【処置エリアの設定について】 

前回の連載でも書いたように、災害救護活動は時間との戦いである。正しい教育と訓練を受けたCFR、CERTメンバーは、迅速に要救助者の処置エリアを設定しなければならない。処置エリアは当然だが、要救助者にとっても救助者に対しても安全な場所であることが条件である(UUUの法則:図2参照)。また、救急車や医療資材のアクセスに便利な場所であることも考慮に入れるべきだ。

■処置エリアのレイアウト(図3参照) 

処置エリアは、要救助者の処置の緊急度に応じて綿密に区分されることが望ましい。前回シリーズの「市民レベルによる簡易トリアージについて」の中で説明した様に

“I” Immediate
は緊急の処置が必要な要救助者、

“D” Delayed
は早期の処置が必要な要救助者、

“M” Minor
は歩行可能な軽症の要救助者、

“DEAD”
は黒タグ傷病者、


というふうに表示して視覚化することが重要である。

可能であれば、“赤・黄・緑・黒”と色分けされた標識を用いてエリアを区分できれば理想的である。また“赤”と“黄”の場所は活動する者同士が声でコミュニケーションが取れる距離間を保ち、資機材を共用し、急な要救助者の様態の変化にも対応できるようにすることを考慮すべきだ。また“M”の要救助者は処置エリアを離れても良いし(離れた場合は必ず記録に残す)、CFRまたはCERTメンバーのサポートとしてアシストしてもらうことも可能だ。

各処置エリアに配置する要救助者同士の間隔は処置する者の活動スペースを考えて、約60㎝~90㎝の間隔を空けると良い。また黒タグの傷病者を安置する場所は処置エリアから見えない所で管理されるべきである。
 

Immediate (I):赤タグ~生命危機の要救助者(気道閉塞、出血多量、ショックの兆候、または圧挫症候群) 
→一刻も早い高度な医療処置を必要とする。
 
Delayed (D):黄色タグ~生命危機には至らない要救助者処置の優先順位は下がるが、早期の医療処置が必要。時間の経過によっては赤に変わるケースもあるので、継続的な評価を必要とする。
 
Minor (M):緑タグ~歩行可能な軽傷の要救助者。
→CFR、またはCERTメンバーのアシストも可、また処置エリアを離れる場合は必ず記録に残す。
 
Dead (DEAD):黒タグ~気道確保2回後、呼吸が確認できない要救助者。
→「黒タグ=何もしないと死亡することが予測されるが、最短の時間で最大数の傷病者を救わなければならないという原則(状況)の中で、赤タグ・黄タグより搬送の優先順位が低い、救命不能群に属する要救助者」(※または、明らかに死亡が確認できるご遺体)。