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前回(コラム第3回)は、リスクの基本特性とバイアスの排除について述べました。コラム第4回は、VUCAの時代のリスク対応に求められるリスク感性を中心に述べていきます。

前回述べたリスクの基本特性に呼応したリスク管理を有効に機能させるものが「リスク感性」です。リスク感性とは、「リスクに対する刺激や反応であって、リスクや危機を前兆の段階で気づき、そのリスクを把握して、対応策を講じる能力」を指します。以下、リスク感性の重要性、リスク感性の鍛え方について見て行きます。

1.リスク感性の重要性

多くのリスクマネジメント関連の書籍には、リスクマネジメント計画作成の第一歩として「リスクを洗い出す」と書かれています。ただし、前回でも述べましたが、VUCAの時代は、外部・内部環境ともに目まぐるしく変わっていくことから、リスクを洗い出すとリスクが無数に出され、エンドレスな状態に陥る可能性があります。「リスクの洗い出し」も無論重要ですが、現在の様なVUCAの時代には、組織構成員が、リスク感性を磨き、組織構成員全員が、各々の持ち場でリスクセンサーとしてリスクを発見する役割を担うことが、現場対応の速効性を確保する意味からも今まで以上に求められます。

まずは、リスク感性の重要性を見ていきたいと思います。