2017/09/04
防災・危機管理ニュース
![](https://risk.ismcdn.jp/mwimgs/4/5/670m/img_45790d1135557980ec28fa82194c5ed691700.jpg)
東京都は3日、調布市との合同総合防災訓練の2日目を行った。多摩地区で震度6強の地震が起こったと想定。調布市の約2000世帯が安否確認訓練として玄関先などに黄色い旗を掲出する「黄色旗大作戦」を実施。多摩川児童公園では約60機関が参加した大規模な救助訓練が行われたほか、物資輸送訓練では6月に運用を開始した立川市にある東京都多摩広域防災倉庫も活用された。
![](https://risk.ismcdn.jp/mwimgs/2/3/670m/img_23f924375382930b1e851b4bd50f3829134557.jpg)
旗やハンカチといった黄色い布類を玄関に掲出し、住人の無事を知らせる訓練は静岡県富士市で約10年前に始まり、他の自治体でも同様の方法が行われているという。周辺の人からの無事の確認がしやすく、救助のスピードアップにつながるという。この日は午前10時までに約2000世帯が黄色地に黒字で「無事です」と書かれた旗を玄関などに掲げた。
![](https://risk.ismcdn.jp/mwimgs/f/5/670m/img_f5af33a7a5f2f9333ad2c72311f3ac67453610.jpg)
多摩川児童公園で行われた公助訓練では東京消防庁や自衛隊など約60機関が参加。韓国・ソウル市や台湾の台北市と新北市、シンガポールのレスキュー隊も参加した。調布市内の木造住宅密集地域をイメージしたセットで、消火活動のほか屋根や車を破壊しての救助活動、東京DMAT(災害医療派遣チーム)による救急活動などが行われた。多摩川では自衛隊などのヘリコプターが水難救助も行った。最後は1分間に8000Lの川の水をくみ出すスーパーポンパーを用いた一斉放水も行った。
![](https://risk.ismcdn.jp/mwimgs/b/1/670m/img_b1240ab6d135e23c44bc5d95fdc99d4867506.jpg)
小池百合子知事は「黄色旗大作戦」や多摩川児童公園での訓練を視察。訓練後の講評として「防災機関のポテンシャルは大きい。皆さんの日々の訓練・研さんがありスムーズに訓練が行われた。2020年東京オリンピック・パラリンピックは調布市も会場であるが、地震が大会中に起こる最悪の事態もありうる。いざという時に最高の力を発揮する『セーフシティ・東京』を目指す」と述べた。また自身が経験した1995年の阪神・淡路大震災では「8割の救助が自助・共助によるものだった」と説明。「ありとあらゆることが災害時には同時に起こる」と学んだことを紹介した。
さらに小池知事は訓練後、報道陣に対し自宅から都庁へのヘリ移動を行った1日の訓練も含め振り返り、「(都の災害対策)本部長である自分が不在だと何も始まらない。改めて自分の責任の重さを感じた。移動については幹線道路が使えない場合などケースバイケース。できるだけいろいろな想定が必要」と述べた。
輸送訓練では広域輸送基地として都多摩広域防災倉庫を活用する想定で、近隣県から物資を受け入れ、想定輸送拠点である調布市のNTT中央研修センターへ物資を輸送。また、在日米軍による福生市などにまたがる横田基地への空路での輸送も行われた。
■関連記事
「小池都知事、防災の日訓練でヘリ登庁」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/3616
「東京都、立川で大型防災倉庫を稼働」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/2977
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方