【ニューヨーク時事】米政府機関の一部閉鎖の長期化を受け、低所得者向け食料購入補助制度「フードスタンプ」が来月1日に停止される見通しだ。つなぎ予算案の度重なる否決による資金枯渇が理由。報道によると、トランプ政権は不測の事態に備えた基金の拠出も見送る方針を示しており、最大4200万人の受給者が苦境に立たされる恐れがある。
 フードスタンプは、受給者が配布された電子カードを買い物の際に提示、補助を受ける仕組み。米市民の8人に1人が利用している。補助額は所得水準などによって異なり、1人当たりの平均受給額は月額188ドル(約2万8700円)。運営主体は州政府で、低所得者向けの重要支援策と位置付けられている。
 ところが医療関連予算を巡り、年末に失効する医療保険制度(オバマケア)への補助延長を求める野党民主党と、予算成立後の協議を主張する与党共和党が激しく対立。フードスタンプを所管する農務省のロリンズ長官は、SNSへの投稿で「民主党は国民の食料安全保障より自らの政治的議題を優先している」と批判した。
 一方、ニューヨーク州のホークル知事(民主党)は声明で「人命が懸かっている。共和党議員は駆け引きをやめるべきだ」と訴えた。
 政府閉鎖に終わりが見えない中、州政府独自の取り組みも広がりつつある。ホークル氏は27日、フードスタンプを受給する州民約300万人向けに、3000万ドル分の追加援助を発表した。南部バージニア州のヤンキン知事(共和党)も23日、非常事態宣言を発令。州緊急基金の活用を通じて支援を続けることを決めた。 
〔写真説明〕米食料購入補助制度「フードスタンプ」が利用可能な店舗=27日、ニューヨーク

(ニュース提供元:時事通信社)