技術革新が後押しする「気候変動」時代の水害対策
刻一刻と変わる状況に応じた「リアルタイム防災」の意識を
株式会社Spectee/
COO 兼 海外事業責任者
根来 諭
根来 諭
ソニー株式会社で4カ国において事業管理やマーケティングに従事した後、2019年に株式会社Specteeに参画。数多くの自治体・企業に採用されたリアルタイム危機管理情報サービス「Spectee Pro(スペクティプロ)」を中心に、AI等の最先端技術を活用した情報の解析と、いち早く正確な災害関連情報・感染症情報・企業のリスク情報などの配信を行っています。「危機」を可視化することで、すべての人が安全で豊かな生活を送れる社会の創造を目指しています。
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2020年7月、国土交通省・社会資本整備審議会が「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について ~あらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な「流域治水」への転換~」と題する答申を発表しました。
これは、気候変動、つまり周期的変化にとどまらず恒久的に気候が変化している、という前提に立ち、水害対策を根本的に考え直さなければならないという問題意識に基づいた答申です。確かに実感として水害が増えているように感じます。1カ月前の熊本を中心に被害を受けた豪雨、昨年は千曲川の氾濫や佐賀県の六角川周辺の浸水被害、一昨年は岡山県倉敷市で大規模な浸水被害がありました。日本において、降水量は近年増えているのでしょうか?
降水量は増えている?
下図は、気象庁のデータベースから作成した1976年から2019年の降水量の平年比を示したグラフです。ここ10年ほどは平年を下回ることがなかったことが見受けられますが、20年前・30年前に比べて劇的に降水量が増えているということはないようです。
一方、1時間に50ミリ以上の雨(気象庁の基準で「非常に激しい雨」または「猛烈な雨」)の発生回数を見てみるとどうでしょうか。下図も同じく気象庁のデータベースより作成したグラフで、1976年から2019年に1時間当たり50ミリ以上の雨が降った回数を示しています。総体的な降水量は劇的に増えていると言えないものの、短時間にまとまって降る雨の回数は明確に増加していることが見て取れます。