普通の靴下よりも5本指のほうが暖かいという方がいらっしゃいますが・・(画像:Photo AC)

5本指ソックスというと体によさそうな感じがするからか、なぜか5本指ソックスが暖かいと信じている人も多いです。もしかしたら、読者の中にも熱心な信者の方がいらっしゃるのかもしれません。でも、実は5本指ソックスは寒いのです。

なぜかというと、こういうことです。暖かくなるためには、熱源から伝導、対流、放射のいずれかの方法で熱を受け取る必要があります。指の場合の熱源はどこになるかといえば隣の指です。隣の指の体温を伝導によって直接伝えてもらえれば暖かくなります。

5本指ソックスをはくことは、それぞれの指に衣類を着せるのだから、一見、暖かそうに見えます。しかし、実は熱源である隣の指の熱を遮ってしまっているのです。指の間はそれぞれの指分である計2枚の布で隔離されることになり、熱源から生地2枚分遮られているから寒くなるものなのです。

で、熱源から離れるとどうして寒いかというと簡単にできる実験があります。まず、シャツなどを着ている肩の上に手をおいてください。その温度と、シャツの中に手をいれて肌を直接さわる温度はどちらが暖かいですか?

直接肌に触れるほうが暖かいですよね。手が冷たくなっている時などのほうがわかりやすいので、実感できなかった人は手が冷たい時に試してみてください。1枚遮られるだけで、暖かくなくなるのです。

足指も同じです。隣の指の熱源を直接伝導で受け取るほうが暖かいのです。ただ、足指は血管が細いので、冷えても体感としてわかりにくいのです。だから、5本指ソックスをはいたほうが寒くなっている事にさえ気付かないのかもしれません。

また、こんな実験も可能です。冷たい外気の中、5本指の手袋をはめて歩くのと、ミトンタイプのもの、どちらが暖かいでしょう? 5本指のほうが寒いことがわかるでしょう。

さらに、冬場は体温のほうが気温よりも高いです。熱は高いほうから低いほうに移動しますので、指の間に隙間があれば、放熱面積が増えるので、寒くなるのです。

ではなぜ、5本指は暖かいように誤解されたのでしょう?上に1枚つけるから暖かそうに見えるという事以外に、こんな事が考えられそうです。

まず、床暖房の人にとっては、5本指ソックスは暖かいです。なぜなら、熱源が隣の指からではなく、床からの伝導によって伝えられているからです。

また、5本指ソックスをはくと、指それぞれを意識して動かすようになる人もいらっしゃるようです。指をこまめに動かしたから、足指の体温が上がっているということですね。だから、5本指ソックスを履かなくても、足指を動かしていればいいということになります。