2021/04/22
組織の生産性を上げるエンタープライズ・リスクコミュニケーション
ERC初心者のための3つのステップ
もしあなたが社内でERCの質を高めていくための活動に着手したいとお考えであれば、以下の3つのステップを踏むとよいでしょう。
①トップにコミットメントしてもらう
②参加しやすい場をつくる
③リスクの洗い出しを行い、対応策を決めておく
経営そのものと言っていいERCの取り組みは、現場だけでは進みません。「トップにコミットメントしてもらう」ことは何より重要です。しかし、「このリスクが大きいです」と現場が声を上げても、根拠データに乏しいとトップは思い切った意思決定ができません。例えば、経営陣が集まる会議体などで、あなたの会社の同業他社で起きた不祥事に関する事例のリポートを定期的に共有することから始めるのをお勧めします。長時間ではなく、10~20分程度の短時間で実施するとより効果的です。この身近な業界内の事例共有を通じて、リスクを正当に評価することは、危機を好転するチャンスを見逃さないことにつながることだと理解してもらいましょう。トップにどれだけコミットメントさせることができるかが、ERCの明暗を分けるのです。
次いで大事なのが「参加しやすい場をつくる」ことです。あなたが時代の流れを察知し、リスクのトレンドや傾向を把握しながら伝え続けることで、やがて賛同してくれる人は増えていきます。ERCはポジティブイベントと浸透できるよう、場の空気を軽くし、継続的にカジュアルに行えるよう工夫が必要です。
話し合いの場では目的、意図を共有しましょう。全員の声が必要なことを明確にし、建設的に対応できるように互いの意見を「聴く」技量を高めます。また、設問を投げかけて議論させるだけではなく、個別インタビューでの検討、グループ討議、全体討議など場面に応じた手段をうまく使い分けます。誘導を避け、経営陣をはじめ参加するメンバーの「恥をかきたくない」などの気持ちが生まれるプレッシャーを与えないように配慮するのです。いかに当事者意識を持ってもらいながら巻き込んでいくか、それができるかできないかで大きく効果が変わってきます。取り組みが重くなると、現場の業務効率を妨げるだけに終わってしまうのです。
上記2つのステップでトップを巻き込み、参加しやすい場をつくれたら、ERC向上の取り組みは5割がた成功したと言っても過言ではありません。ERCに取り組もうする担当者はほとんどこの前段階で挫折してしまいがちですが、ここまでできたら後は「リスクの洗い出しを行い、対応策を決めておく」こと。こちらは第2回の「プロレスラーに学ぶ、称賛を集めるリスクコミュニケーション」でご紹介した。事前に決めておいた方がよいことを参考にしてみてください。
- keyword
- リスクコミュニケーション
- リスクマネジメント
組織の生産性を上げるエンタープライズ・リスクコミュニケーションの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/02/17
-
-
-
-
-
今年の夏は大規模停電のリスク大?
今年の夏、東京電力管内を中心に電力不足が懸念されています。需要に対する供給力の余裕を示す「予備率」が1パーセントを切る見通しで、もしそこで突発的な発電所の事故や故障が起きれば予備率はさらに低下、マイナスに陥りかねません。大規模停電のリスクについて、東京電機大学名誉教授の加藤政一氏に聞きました。
2026/02/12
-
-
-
海外危機管理マニュアルの作成が急務
海外に社員を送り出す企業にとって、緊急事態が発生した際の対応体制は必須。どんなに現地に慣れたベテランでも、自分の身を守り切れない事態は起き得ます。ましてや現在は安全保障上の国家対立が深まり、東アジアの緊張も高まっている時代。海外危機管理サービスを手がける安全サポートの有坂錬成代表取締役に、海外進出企業が取り組むべき対策を聞きました。
2026/02/05








※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方