【ベルリン時事】国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は15日、ロシア軍が占拠するウクライナ南部ザポロジエ原発を訪れた。カホフカ水力発電所のダム決壊に伴い冷却水の確保が課題となっているが、グロッシ氏は原発に近接する貯水池など現地の対応状況を確認し「当面は安全を維持できる」と述べた。
 IAEAによると、ダムからの取水が停止した場合でも、貯水池には数カ月分の水がある。グロッシ氏は「水は十分にある」と説明しつつ、「重要なことは貯水池を現状のまま保つことだ」と述べ、冷却水確保へ警戒を続ける考えを強調した。
 原発はウクライナ軍が反転攻勢を強めるザポロジエ州にあり、今回の現地入りは治安状況を確認するため、予定より1日遅れた。グロッシ氏は「戦闘行為が周辺で行われている。数時間前まで、確実に訪問できるか分からなかった」と述べ、危険と隣り合わせの実情も再確認された。 

(ニュース提供元:時事通信社)