【カイロ時事】サウジアラビア西部のイスラム教の聖地メッカを訪れる大巡礼(ハッジ)は27日、預言者ムハンマドが最後の説教をしたというメッカ近郊アラファト山に巡礼者が集結し、最高潮を迎えた。新型コロナウイルス対策による受け入れ制限が撤廃され、サウジ当局によると180万人以上が参加。中東情勢の変化を受け、サウジが内戦に介入するイエメンの首都サヌアからの航空便も再開した。
 ハッジは礼拝や断食などと共にイスラム教徒に課せられた五つの義務の一つ。財力と体力に余裕のある信徒が一生に一度は行うものとされる。参加したエジプト人女性はAFP通信に「待ち望んでいた瞬間だ」と喜びを語った。
 2019年は約250万人が参加したが、コロナ禍後は激減。段階的に制限を緩和し、昨年は約100万人まで増やした。
 サヌアからの航空便は約7年ぶり。背景には、長年対立してきたサウジとイランが今年3月、外交関係修復で合意し、中東地域の緊張が緩和されたことがある。
 サウジは、イランとの代理戦争の様相を呈していたイエメン内戦を巡り、4月にサヌアを支配する親イラン武装組織フーシ派と停戦に向けて協議。和平への期待が高まっている。 
〔写真説明〕27日、サウジアラビア西部メッカ近郊のアラファト山で祈りをささげる巡礼者ら(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)