2024/06/17
防災・危機管理ニュース
【ビュルゲンシュトック時事】スイス・ビュルゲンシュトックで15、16両日の日程で開かれたウクライナ主導の和平案を話し合う「平和サミット」。「ロシア軍撤退」などの核心部分を議題から外すことでハードルを下げ、参加国を国・機関合わせて100の大台に乗せてみせた。
しかし国際社会で影響を強める新興・途上国「グローバルサウス」の主要国は、首脳が軒並み不参加となり、様子見姿勢は鮮明。共同声明の署名も見送った。ウクライナは次回会合に向け支持拡大への望みをつないだものの、合意形成の難しさが浮き彫りになった。
◇G7参加もスイス行かず
「(ロシアを含めた)当事国が認める国際会議だけが和平を可能にする」。ブラジルのルラ大統領は14日、イタリアで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)の拡大会合で演説し、平和サミットの実効性に疑問を投げ掛けた。
隣国スイスには足を延ばさず、国としてもオブザーバー参加にとどめた。同じ会合に出たインドのモディ首相とトルコのエルドアン大統領も平和サミットには自身の参加を見送り、米国を除いてこぞってスイスに駆け付けたG7首脳とは対照的だった。
これら新興国にとっても「領土侵攻」は看過できない国際法違反だ。それでも経済・軍事面で利用価値の高いロシアとの関係悪化は避けたいのが本音。ロシアは10日、自国で行われた新興国グループ「BRICS」外相会議で、西側諸国へのけん制を込めた共同声明をまとめて、抱き込みを図った。
◇小さな芽に水を
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、支援国の手を借りながら、トップ外交を展開して数集めに奔走した。2日の演説では「何人かの首脳はまだ参加を決めていない。妨害が試みられている」と焦りも見せた。
焦点だった中国がロシアに配慮して参加を見送ったことへの失望は大きい。ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領が4、5月に、それぞれ習近平中国国家主席と直談判したが、オブザーバー参加もしない「ゼロ回答」だった。
ただ南アフリカやサウジアラビアを含むグローバルサウスの主要国をまがりなりにもそろえたことは一定の成果といえそうだ。ゼレンスキー氏は「きょうここにいない首脳のところにもアイデアは持ち帰られる」と述べ、次回への期待を込めた。
ウクライナを支えてきたショルツ氏は、花の水やりに例えて、今後の継続的な努力を訴えた。「小さな芽には水を注ぎ、大切に育てなければならない」。
〔写真説明〕ブラジルのルラ大統領=14日、イタリア南部バーリ近郊(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

- keyword
- ウクライナ
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/05/20
-
永野芽郁と田中圭の報道から考える広告リスクタレントの不倫疑惑
「不倫報道で契約解除」は企業の広告・広報担当者にとって決して珍しい判断ではなくなりました。特に「B to C」企業は世間の空気に過敏にならざるを得ない構造があります。永野芽郁さんと田中圭さんという人気俳優による不倫報道が世間をにぎわせています。企業にとって本質的に問われるべきは、タレントの私生活そのものではなく「報道によって自社ブランドが受けるリスクをどう評価し、どう備えていたか」という事前準備と、報道後のブレない対応です。本稿では、広告タレント起用のリスクに対して、企業が準備しておくべきこと、そして“報道された時”にどう判断すべきかを整理します。
2025/05/20
-
-
-
「まさかうちが狙われるとは」経営者の本音に向き合う
「困った人を助け、困った人を生み出さず、世界中のデータトラブルを解決します」。そんな理念のもと、あらゆるデータトラブルに対応するソリューションカンパニー。産業界のデータセキュリティーの現状をどう見ているのか、どうレベルを高めようとしているのかを聞きました。
2025/05/13
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方