ウクライナ南部オデッサに23日未明(日本時間同日午前)、ロシア軍の大規模なミサイル攻撃があり、正教会の救世主顕栄大聖堂が破壊された。港湾施設や住宅も被害を受け、地元知事は1人が死亡、子供を含む19人が負傷したと明らかにした。
 「黒海の真珠」と呼ばれるオデッサの歴史地区は今年1月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された。ウクライナ外務省は攻撃を「戦争犯罪」と指摘。ゼレンスキー大統領は「ロシアの悪に弁解の余地はない」と述べた。
 プーチン政権は、対ロシア制裁が解除されないことに反発し、ウクライナ産穀物の輸出合意の履行を停止。輸出拠点があるオデッサなどを連日のように攻撃している。
 ウクライナ軍によると、陸海空から巡航ミサイル17発と弾道ミサイル2発の計19発が撃ち込まれ、うち9発を撃墜した。地元高官は「侵攻開始後、最大の攻撃(の一つ)だ」と非難した。ロシア国防省は、ロシア軍のミサイルは歴史地区を避けており、大聖堂の破壊はウクライナ軍の地対空ミサイルの落下によるものだと主張した。
 救世主顕栄大聖堂は、19世紀初頭に完成したオデッサで最大の正教会の聖堂。宗教を否定するスターリン時代に爆破され、ソ連崩壊後の2000年代に復興された。 
〔写真説明〕23日、ウクライナ南部オデッサで、ロシアのミサイル攻撃を受け損壊した救世主顕栄大聖堂の内部(ロイター時事)

(ニュース提供元:時事通信社)