【カイロ時事】イスラエルとパレスチナの衝突が激化する中、イスラム主義組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏の報道顧問タヘル・ヌヌ氏は1日、カイロで時事通信のインタビューに応じ、イスラエルとの和平について「いかなる交渉もしない」と断言した。パレスチナ自治区ガザを実効支配するハマスを含む複数のパレスチナ勢力が武力による抵抗を支持しているとし、「いずれイスラエルと戦争になるだろう」と述べた。
 イスラエルは7月上旬、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ジェニンで「対テロ作戦」として大規模な軍事作戦を展開。ネタニヤフ政権の対パレスチナ強硬姿勢に対抗するため、パレスチナの内部分裂解消を模索する動きもあるが、一枚岩になれていないのが現状だ。
 エジプト北部アラメインで7月30日、パレスチナ自治政府のアッバス議長やハニヤ氏を含む各勢力の代表者が集まった。とりわけ、アッバス氏率いるパレスチナ主流派組織ファタハとハマスの長年の対立解消に向けた動きが注目されたが、結論は出ず、議論を継続することになった。
 この会議に出席したヌヌ氏は、イスラエルに対峙(たいじ)するための「ロードマップ(工程表)」作成で合意したと説明。各勢力の幹部で構成する「委員会」が近く立ち上げられ、パレスチナの「統一的なリーダーシップ」について協議するという。
 イスラエルとの和平交渉について、アッバス氏は「平和的抵抗が最善の方法」という立場だが、ヌヌ氏はネタニヤフ政権との交渉は不可能だと主張。イスラエルでは現在、司法制度見直しを巡る混乱が続き、米国をはじめ国際社会の支持が失われつつあるとして、「パレスチナ各勢力は今こそ団結し、イスラエルに武力抵抗する時だと確信している」と指摘した。 
〔写真説明〕1日、カイロで取材に応じるイスラム組織ハマス最高指導者ハニヤ氏の報道顧問タヘル・ヌヌ氏

(ニュース提供元:時事通信社)