金融庁は4日、損害保険大手による企業向け保険入札前の事前価格調整問題で、保険業法に基づき、東京海上日動火災保険など4社に追加の報告徴求命令を出した。対象は東京海上日動のほか、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険。この問題で既に報告命令を出した東急グループ向けに続き、石油元売り大手や鉄道会社との契約でも疑いが浮上していた。
 東急グループ向けのほかに価格調整の疑いが判明しているのは、ENEOSやJR東日本、京成電鉄、千葉都市モノレール、成田国際空港会社などとの契約。関係者によると、他にも疑いのある事例が数十件以上判明している。金融庁は価格調整が業界で常態化していた可能性もあるとみており、調査範囲を広げた報告を要求。問題の全容解明を進める方針だ。
 東京海上日動は同日、「厳粛に受け止め、真摯(しんし)に対応していく。原因を分析し、再発防止に努めたい」とのコメントを発表した。
 価格調整が行われたのは、損保会社が保険金支払いのリスクを分担する共同保険に関する契約。企業向け保険は、大手4社が9割を引き受ける寡占状態にあり、競争原理が働きにくかった。こうした状況下、入札前に互いに保険料水準をメールなどで連絡して、事前に価格調整していた疑いがある。 
〔写真説明〕金融庁=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)