能登半島地震に伴う停電や通信障害の復旧が難航している。北陸電力や通信各社は作業に全力を挙げているが、道路の寸断が足かせとなり、発生から1週間以上たっても解消は見通せない。今後本格化する復興に向け、生活インフラの再建が急務となっている。
 北陸電力によると、1日の発災直後には管内で一時4万戸超が停電した。同社は9日も他の電力会社からの応援を得て1000人規模で復旧に当たり、電源車や高所作業車など約630台を投入。停電は同日夕時点で約1万5000戸まで減少した。
 ただ、強い揺れの爪痕は大きく、電柱約1150本が傾き、約290本が折れるなどの被害が発生。道路損壊で車両の通行がままならない地域もあり、慎重に作業を進めている。経済産業省の担当者は「できるところから復旧を進めており、全体の見通しはまだ立てられない」と語った。
 2018年の北海道地震では、火力発電所の停止などで最大約295万戸が停電し、約2日で99%が解消。16年の熊本地震では、送配電設備損傷などで最大約47万7000戸が停電し、本震から約5日で解消した。過去の例に比べ、今回は復旧に時間を要している。
 停電による携帯電話基地局の停止や、地震に伴う通信設備の損傷で、石川県輪島市や珠洲市の一部などでは通信障害も続いている。停電時に使う基地局の予備電源の多くは24時間程度しか稼働せず、道路寸断で燃料補給も難しい。NTTドコモは11年の東日本大震災後、災害時に広域をカバーする「大ゾーン基地局」を整備してきたが、被害が大きい能登半島北部には設置されておらず、障害長期化の一因となっている。 
〔写真説明〕雪が降り積もった被災地=8日、石川県珠洲市

(ニュース提供元:時事通信社)