国土交通省は2024年度、大規模地震や津波災害を想定して市町村があらかじめ復興の手順や目標を示す「事前復興まちづくり計画」について、都道府県による関与を促す。市町村向けにガイドラインを作る費用などを新たに交付金で支援。マンパワー不足の小規模市町村でも計画を作れるよう後押しする。
 国交省は被災後のスムーズな復興につなげるため、市町村に事前計画の検討を促している。被災後は職員が避難所運営など当面の対応に追われるほか、住民の合意形成に時間をかけている間に人口が流出し、結果として復興事業の規模が過大になる恐れもあるからだ。
 同省は、計画策定のための手引を公表しており、庁内の体制整備やまちづくりの手順、目標の設定について解説している。例えば、想定する災害の種類▽現地再建するか高台などに移転するか▽応急仮設住宅や災害廃棄物の用地調整―といった点を検討するよう指南。人口減少や高齢化を見据えた復興目標も求めている。計画策定に必要な費用の3分の1を防災・安全交付金で支援している。
 ただ、人員が少ない市町村ほど検討が進んでいない。南海トラフ地震や首都直下地震のリスクが切迫している地域に比べ、そうでない地域では能登半島の被災地を含め事前準備が進んでいない傾向にあるという。
 このため同省は都道府県による人的・技術的な関与を促す。交付金の使途を拡充し、地域の実情に合わせて市町村向けガイドラインを作るなど、事前計画の支援にも充てられるようにする。
 同省が23年度、全国1788自治体に行った調査によると、計画策定を含めた事前復興の取り組みを「検討していない」と回答した団体は34%。検討に着手した団体でも、復興の目標については63%の団体が「検討していない」とした。 

(ニュース提供元:時事通信社)