気候とビジネスのリスク・シナリオ-第一部:私たちは今、どこにいるのか?
■ファストファッションのジレンマ
世の中が便利かつ効率的になるのはよいことだが、そうした利便性を追求するための生産と消費のサイクルが過熱すると地球環境に大きな負荷を与えることになる。ここではその負荷の問題を「ファストファッション」「エアコン」「AI」の3例(他にもいろいろあるが…)を通じて考えてみよう。
まずは「ファストファッション」だ。ファストファッションとは、最新モデルの衣類を安価に大量に生産し、短いサイクルで販売する業態のことで、世界には多くのブランドがある。消費者にとってはありがたい存在だが、しかし衣類が過剰に生産され、短期間で大量廃棄されるため、当然のことながら環境問題が生じる。
例えば、ナイロンやポリエステルは製造過程で大量のエネルギーを消費し、多大なCO2を排出する。衣類一着でのCO2排出量は500ミリリットルのペットボトル換算で255本分、使用する水の量はバスタブに換算して11杯分にもなる。また、洗濯や廃棄によって衣類から出たマイクロファイバー(合成繊維由来)は自然分解されることなく魚介類の体内に入るなどの海洋汚染を引き起こす。
一部のファストファッションメーカーのなかにはSDGsに即した活動を積極的に行っている企業もある。例えば、地球を守る「ファッション協定」に加盟する、スローファッション(不要在庫を持たず必要な分だけ受注生産するなど)に切り替える、CO2の排出を低減する素材や再生材のウエイトを増やす、生産から消費までに排出されるカーボンの低減に取り組むといったことだ。
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