2024/11/10
定例セミナーダイジェスト
AIをめぐるセキュリティの攻防
―その現在地と検討ポイント
テクノロジーリスク勉強会 10月2日
ISF Business Account Manager
小原浩之氏

攻撃AI×防御AIで何が起きるかは未知数
テクノロジーリスク勉強会は10月2日、オンラインで開催。「AIをめぐるセキュリティの攻防―その現在地と検討ポイント」をテーマに、情報セキュリティのグローバルネットワーク・ISF(InformationSecurity Forum)の日本窓口を務める小原浩之氏が、AIを使ったサイバー攻撃と防御の関係性などを解説した。
小原氏は、AIがサイバーセキュリティに与える影響を解説。攻撃面においてはディープラーニングによるマルウェアの進化、ディープフェイクによるフィッシングメールやソーシャルエンジニアリング(心理的隙をついて情報を詐取する手法)の巧妙化など「悪用が進んでいる」とした。
AIはシステムへの侵入と侵入後の活動を自動化・最適化し、また機械学習と自然言語処理によって脆弱箇所を精度よく発見、攻撃すると指摘。「いまや技術力の低い犯罪者でもインパクトの強い効果的な攻撃ができるうえ、特定も困難になっている。インシデント対応は非常に難しい」と話した。
一方でAIによる防御についても、脅威の検出・分析の強化・自動化によりダイナミックなセキュリティ戦術が可能になったと説明。将来起き得る攻撃を予測したタイムリーな行動支援やインシデントの迅速な検知に加え、潜在的インシデントも特定した的確な意思決定など「新たな脅威にスピードで対応できる」とした。
が、過去の攻撃データの継続学習で検知能力が上がり、さまざまなアプローチの最適化ができる半面、AIは「サイバーの専門家でも理解が及ばない未熟なテクノロジーであることをわきまえる必要がある」とも発言。例えば、攻撃AIのプロセスと防御AIのプロセスが対抗した場合、何が起きるかわからないという。
「今後、深掘りして検討していかないといけない。そしてそれを、自社の問題として整理していかないといけない。これが一番大きな課題になる」と述べた。
PRO会員(ライトは除く)のアーカイブ視聴はこちら。12月31日まで。
- keyword
- ITセキュリティ
- サイバーセキュリティ
- AI
- 人権DD
- 人権デューデリジェンス
- サプライチェーン
- 一斉帰宅抑制
- 滞在訓練
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/26
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方