2025/12/05
防災・危機管理ニュース
【イスタンブール時事】ウクライナが黒海を航行していたタンカーを攻撃し、周辺国が緊張激化への懸念を強めている。ウクライナは、制裁を回避してロシア産原油を運ぶ「影の船団」を攻撃したと主張し、ロシアは対抗措置を警告。戦火の拡大に発展しかねない状況だ。
黒海のトルコ沖では先月28日、タンカー2隻が攻撃を受け、ウクライナが保安局(SBU)による作戦だったと認めた。ウクライナ側は「ロシアの原油輸送に大きな打撃を与えた」と戦果を強調した。
これに対し、ロシアのプーチン大統領は今月2日、攻撃を「海賊行為」と非難。「最も根本的な選択肢は、ウクライナを海から遮断することだ」と述べ、ウクライナの黒海沿岸の港などに対する攻撃強化を示唆した。
ロシアとウクライナは3月に米国の仲介で、黒海の航行の安全確保や武力行使排除で合意した。世界有数の穀物生産国ウクライナにとって、主要な輸出ルートである黒海の安全航行は極めて重要で、海上輸送が滞れば戦時財政への影響は必至。それでも、東部戦線で劣勢に立たされていることを受け、ロシアの戦費調達の柱であるエネルギー関連施設や輸送手段に対する攻撃強化に踏み切らざるを得なかったとみられる。
黒海に面するトルコ、ルーマニア、ブルガリアの3カ国は3日、ブリュッセルで外相会談を開催。トルコのフィダン外相は「戦争の範囲やその手段が拡大している」と懸念を示した。ルーマニア国防省は同国東部沖の黒海を漂流していた水上ドローンを爆破処理したと発表した。
〔写真説明〕黒海で爆発・炎上するロシア産原油を運ぶ「影の船団」とされるタンカー=11月28日、トルコ・ボスポラス海峡(同国海上保安当局が同29日提供)(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
- 米メタ、メタバース予算3割削減か=不採算事業、人員削減も―報道
- 黒海で緊張激化、周辺国懸念=タンカー攻撃でロシア報復も
- 企業への攻撃防止、教訓共有カギ=官民一体で対応を―カナダ・サイバー高官
- 東北日本海側と北陸は大気不安定=突風や落雷注意―気象庁
- カード情報3万件超漏えいか=不正アクセスで―駿河屋
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/12/05
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方