トップインタビュー
FRONTEO 代表取締役社長 守本正宏氏

 
 
 
 

Profile 【もりもと・まさひろ】

 

1989年防衛大学校卒業後、海上自衛隊の護衛艦で勤務。1994年、退官。その後、半導体製造装置メーカーのアプライドマテリアルズジャパンを経て、2003年に、FRONTEO(旧UBIC)を設立。現在は、創業からのフォレンジック調査や国際訴訟支援などのリーガルテックAI事業に加え、ビジネスインテリジェンス、ライフサイエンスAI、経済安全保障まで事業を拡大。FRONTEOグループCEOとして事業展開ならびにAIの研究開発を先導している。



昨今、企業の不祥事が多発している。不正会計や金銭の着服、独占禁止法で禁止される談合やカルテルなどが発覚することで企業の信用が失墜し、業績悪化にいたるケースが多い。企業の不正を防ぐ方法で有効なのが、社内のメールモニタリング(メール監査)だ。

国際訴訟・不正調査のパイオニアであるFRONTEO(東京都港区)は、リーガルテック分野で培ったノウハウから自社開発したAIエンジン「KIBIT(キビット)」をコア技術に、メール監査で企業の不正リスクを検知するサービスを提供する。膨大な量の電子データから、どのように不正を発見し、未然に防ぐのか。代表取締役社長の守本正宏氏に話を聞いた。
※本記事は「月刊BCPリーダーズvol.75(2026年6月号)」に掲載されたものです。

 

不正リスクの早期発見が
顧客も従業員も守る

 

―不正やコンプライアンス違反の兆候を検知するメールモニタリング(メール
監査)ツール「KIBIT Eye」を提供しています。

KIBIT Eyeは、メールやチャット履歴から監査するAIソリューションです。メール・チャット・通話音声などのテキストデータを解析し、不正会計や情報漏えい、金融商品取引法に関するインサイダー取引、カルテル、談合などの業務に内在する不正リスクを事前に発見します。法的手続きのために行うフォレンジックとは異なり、平時から不正を検知することを目的にしています。

メールモニタリングをする場合、実際に監査する組織のデータ(メール文書)を教師データに用いることが理想的です。教師データとは答え付きの例題のようなもので、データのパターンや法則をAI に学習させることで、未解析データに対する予測や判別を可能にします。しかし、不正は頻繁に起こるものでもなく、目的とするメールはごく一部。法則を学ばせるために必要な教師データ自体を用意するのも一苦労ですが、「AIエンジンのKIBIT(キビット)」を搭載しているので、20件ほどの教師データがあれば、モニタリングを開始できます。

学習させたあとは、自動でメールをスコアリングし、要監査が必要な文書と関
連性が低い文書に振り分けます。最終的には、監査の担当者が目視で確認するこ
とで、不正につながるリスクを検知できる。会社規模にもよりますが、大手金融
機関なら1日に1~100万のメールチェックが必要です。人間の手では調査時間も
コストも多大にかかりますが、KIBIT Eyeなら、確認作業を効率化しつつ、効果的に全件調査できます。

企業の中で起こる不正というのは、本当の犯罪と違い、理由が積み重なった結果として起こります。従業員の不満の解消が適宜必要で、不正につながるリスクを早期に発見することが重要です。社内のコンプライアンスチェックを強化することが、結果として、エンドユーザーのお客様も社員も守ることになります。

KIBIT Eyeでテキストデータをリスク別に区分けしたイメージ図。特定のリスクに基づくテキストデータを、独自のアルゴリズムでスコアリングし、関連性のレベルに応じて 振り分ける。右下の赤枠の数値は、AIによるスコアリング結果(FRONTEO提供資料をもとに本紙作成)