大規模地震や風水害が相次ぐ中、政府全体の防災・災害対応の司令塔となる「防災庁」の設置が決まった。発災時から復旧・復興までの一貫した災害対応に加え、平時の備えを政府一体で強化する。一方、災害時の被害を減らしていくためには、日常から個人レベルの行動をどう変えていけるかが課題となる。
 政府が昨年12月にまとめた基本方針では、防災庁が、自然災害が発生した場合の被害の最小化に取り組む方針を明記。内閣府の「防災庁設置準備アドバイザー会議」の専門委員を務めた広井悠東大教授(都市防災)は、設置に伴う人員面などの体制強化により、「広い視野で効率的に災害対策に取り組める」と指摘する。
 平時からの備えの一環として、政府は大規模災害時に必要な物資や人員を分析する自治体向けの指針を策定する方針だ。また、南海トラフ地震と日本海溝・千島海溝地震を想定し、2027年度以降には地方機関の「防災局」を2カ所に設置する。防災庁設置準備室によると、これまでに44地域が国に設置を要望しており、場所の選定が進められる見通しだ。
 今後重要となるのは、行政以外の幅広い関係者との連携だ。広井教授は、個人や企業の主体的な取り組みが不可欠だとした上で、「(災害の被害を減らすために)防災庁の中長期的な目標をどのように設定し、いかに国民や民間と共に動いていくかを考えることが求められる」と語る。
 政府は、個人レベルの行動変容のため、日用品などを非常時にも使えるようにデザインする「フェーズフリー」の考え方の普及策を検討している。内閣府防災部門の担当者は、災害への備えの必要性は国民に認識されているものの、「実際の取り組み状況は頭打ち」だと指摘。具体的な行動に結び付く環境整備を防災庁が進められるかが、政府が掲げる「防災立国」に向けた試金石となる。 
〔写真説明〕防災庁設置法が可決、成立した参院本会議=13日、国会内

(ニュース提供元:時事通信社)