【シリコンバレー時事】対話型AI(人工知能)「チャットGPT」を手掛ける米オープンAIが、世論の逆風に遭っている。競合する米AI開発新興アンソロピックと入れ替わる形で米国防総省と結んだ、同省の機密システム内でのAI利用合意が反発を呼んだ。
 アンソロピックの「クロード」はこれまで、機密システム内で利用できる唯一のAIモデルだったが、独自の倫理基準に従い軍事利用に制限を設けているため、「合法的なあらゆる用途での利用」を求める国防総省と対立。米国民の大規模監視や完全自立型兵器へのAI利用の禁止を訴える同社が制限撤廃を拒否すると、トランプ大統領は2月27日、全ての連邦政府機関でのアンソロピック製品の利用中止を命じた。
 オープンAIと国防総省の合意はその日の夜に発表された。米国民の大規模監視の禁止など、安全対策を取ることで一致したという。
 ただ、オープンAIは原則として合法的な用途での利用を認めているとされ、解釈や運用次第では大規模監視などにつながる恐れがあるとの批判を招いた。アンソロピックのアモデイ最高経営責任者(CEO)が「良心に従い、彼ら(国防総省)の要求に応じることはできない」と述べ、AI利用の倫理面を巡って政権と対立している隙に乗じ、契約を勝ち取ったと見えたことも非難を呼んだ。
 SNS上ではチャットGPTの「解約運動」が拡大。米調査会社センサータワーの分析によれば、米国内でのチャットGPTの削除件数は急増した。一方でアンソロピックを支持する声は高まっており、米アップルのアプリ配信サービス「アップストア」の米国版では、クロードがチャットGPTを抜いて無料アプリランキングの首位に躍り出た。利用の急増が原因とみられるサービス障害も発生した。
 批判の高まりを受け、オープンAIのアルトマンCEOは今月2日、X(旧ツイッター)で「急いでこの件を発表するべきではなかった。機に乗じていて、いいかげんな印象を与えた」と表明。同社は国防総省との契約に、自社の製品を米国民監視に利用しないことなどを明示する条項を追加したと発表した。
 ただ、7日にはロボティクス部門の幹部が性急な合意への懸念を表明して退職したことを明らかにするなど、動揺は収まっていない。 
〔写真説明〕米オープンAIのロゴマーク(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)